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ゼネコン各社/研修施設整備に積極投資/「体験型」がキーワード  [2019年9月12日1面]

 ゼネコン各社による研修施設整備の計画が相次いでいる。6月に清水建設が約500億円を投じて新たな研究・研修拠点を整備すると発表。東鉄工業も同月、茨城県つくば市に4ヘクタールの用地を取得し、新たな研修施設の整備計画を始動させた。研修施設の計画では「体験型」をうたうゼネコンが目立つ。座学だけでなく、体を動かして学ぶ体験型の研修を加える傾向があり、企業の人材育成もスタイルが変化しているようだ。
 清水建設は東京都江東区にある研修施設「シミズものづくり研修センター」に加えて、同区内で新たな研修施設の整備を計画する。センター内には体験型研修施設も備え、建築・土木現場、建築設備工事現場を再現する。協力会社の研修への活用も想定している。
 大林組は2022年4月、横浜市中区に純木造の「次世代型研修施設」を開設する。多様な人材がコミュニケーションし、イノベーションを生み出す拠点と位置付ける。
 東鉄工業は東京都江戸川区に座学用の施設を保有しているが、より広い土地に実体験型設備を備えた研修施設を整備する。21年秋の完成を予定。柳下尚道社長は「体を動かし、ものを作ったり壊したりすることを通じ、実践的な技術力を養う場にしたい」と狙いを話す。
 18年9月に増築した竹中工務店の「竹中技術実務研修センター想(おもい)」(兵庫県川西市)は、「見て・触れて・体得する」がコンセプト。実物大のモックアップを設置し、体験研修でPC部材や鉄骨部材の接合部の納まりを実際に見ることで、工事品質の確保や施工・安全管理の高度化に役立てる狙いだ。
 主要ゼネコンでは11年以降、新卒採用数の増加傾向が続く。少子化による若年人材の減少、首都圏を中心に相次ぐビッグプロジェクトなどが背景にあり、ゼネコン各社は採用した人材の育成を急いでいる。
 既に体験型研修を取り入れているゼネコンもある。鉄建建設は千葉県成田市にある建設技術総合センターに研修用の実物大模型をそろえ、新人研修などに活用している。
 建築用モックアップには各躯体に特有のスリットやスリーブ、仮設物などが組み込まれており、研修した社員からも「納まりの比較や構造体の違いが学習できる」と好評だ。土木ではコンクリートに関する品質管理、仮設材の計画・設置、工事写真の撮影実習、測量実習、図面の見方など、年々模型を活用する研修が増えているという。
 体験型設備は新入社員の即戦力養成を目的としているケースが多く、新入社員研修以外ではあまり使われないのが一般的だ。鉄建建設の研修担当者は「2年目以上の社員はほとんどがコンクリート構造物を実際に現場で扱っている。社員の年次に応じたプログラムを開発し、これらの設備を2年目以降の社員研修にどう有効活用していくかを考える必要がある」と今後の課題を指摘する。

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