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高エネ研/ILC実施へ提言/建設費の国際分担で考え方提示  [2019年10月9日2面]

 高エネルギー加速器研究機構(高エネ研、山内正則機構長)は、電子と陽電子の正面衝突実験を行う次世代大型加速器「国際リニアコライダー(ILC)」プロジェクトの実施に関する提言をまとめた。研究者の観点から▽建設経費と運転経費の国際分担の考え方▽組織の在り方▽技術的準備に取り組む国際協力-の3点を検討。提言として2日付で世界に公表した。今後の政府間での意見交換などに役立ててもらう。
 ILCは地下100メートルに構築した直線状のトンネル(全長約20キロ)に設置する。文部科学省の有識者会議が昨年7月にまとめた報告書によると、総建設費は7355億~8033億円。うち土木建築は1110億~1290億円、加速器本体は4041億~4540億円となっている。
 提言では、建設経費と運転経費の国際分担に関する考え方をまとめた。建設経費(報告書で5152億~5830億円)は▽土木建築(約22%)=ホスト国が負担▽加速器物品(約63%)=ホスト国と非ホスト国で分担▽電気・機械設備など(約15%)=ホスト国が主だが非ホスト国からも受け入れ-の三つに分けた。
 運転経費は、ホスト国と非ホスト国で分担をあらかじめ決める。測定器経費(報告書で766億円)は、加速器と別に国際共同実験グループに参加する国が分担する。
 ILCを実現するための組織の在り方については、各国政府の了解の下、世界の研究機関間での覚書に基づきILC準備研究所を設置。ILC建設のための本格的な準備作業(4年を想定)を行うとともに、建設合意のための政府間交渉を補佐する。政府間の合意が成立した段階で準備研究所を「ILC研究所」に移行。加速器の建設、運転に長期的な責任を負える国際組織となる。
 このほか残された技術的課題を列挙。国際協力が期待できる国を挙げ、技術的な準備計画を示している。
 高エネ研は5月に設置したILC国際ワーキンググループの報告書を踏まえ、「ILCプロジェクト実施に関する提言」として2日に公表。文科省にも提出した。ILCに関する政府間での意見交換、研究機関間でのプロジェクトの準備の場で役立ててもらう。

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