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KSK/新設橋梁のモニタリングを開始/初期データ踏まえ効率的な維持管理に  [2019年10月10日3面]

モニタリング画面のイメージ

 鋼構造やコンクリート構造物の点検業務などを手掛けるKSK(茨城県取手市、山下英俊社長)は、4月に開通した「気仙沼大島大橋」(宮城県気仙沼市)のモニタリングを開始した。供用開始前の初期データと比較することで、通行車両を推計できるシステムも構築している。気象・地象データとの連動や画像解析との融合も見据えており、的確で効率的な予防保全に向けたモニタリングシステムの構築を目指す。国土交通省によると、地方自治体管理の橋梁で新設段階からモニタリングを行うのは全国的にも珍しいという。
 気仙沼大島大橋は気仙沼市の本土部分と気仙沼大島を結ぶ唯一の道路で、4月7日に開通した。東日本大震災後に復興事業の一環として整備され、気仙沼市では「復興のシンボル」とされる。
 橋梁のひずみ、たわみなどを新設段階から計測することで予防保全に役立てる「ヘルスモニタリング」の実施を、同社が加盟する光ファイバセンシング振興協会(中村健太郎理事長)が、宮城県に対して提案。県と協会が協定を結び5年間の計測を行うことになった。協定に基づき、協会会員企業の同社がモニタリングを行っている。
 導入したのは「FBGロングセンサによる計測・モニタリングシステム」。長さ1メートル、最大径3・6ミリの光ファイバーセンサーを、橋の中央部や基礎部など計12カ所に設置しており、ひずみやたわみのデータを集積している。鋼橋の製作段階で専用治具を設置し、工事完了後にセンサーを取り付けた。
 供用開始直前の4月3日に、所定の重量(20トン)になるように調整したダンプトラックを用いて、静的載荷試験と走行試験を実施。載荷前後のたわみとひずみを比較して、基準値となるデータを取得した。その後は常時計測を続けている。
 実際のひずみデータなどから車両の通行状況を推計できる解析ソフトも導入した。供用開始時の初期状況と比較しながら、モニタリングを行っており、正常や注意、異常値の3段階で管理している。データは共有サーバーに転送・保存されており、同県と同社は遠隔地からも確認できる。当面は、異常値が出るような事態は想定されていないが、経年劣化が進む段階までデータを蓄積していくことで、橋の疲労度合いを把握し、予防保全対策に活用できると、同社は見ている。
 温度や湿度、風速、地震時の振動といった気象・地象データと連動させることも検討中だ。同県が設置している監視用カメラの映像と連携させて管理することも視野に入れている。人工知能(AI)を活用した画像解析技術なども導入しながら、トータルモニタリング技術の確立につなげる。
 同社の山下社長は、「先端技術を活用しながら、安全・安心なインフラ管理の一端を担っていきたい」と話している。

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