BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・112/樋口一希/AI・IoTビジネス推進する大成建設  [2019年10月24日]

デジタルプラットフォームの概要

 大成建設は、日本マイクロソフトと協働してAI(人工知能)・IoT(モノのインターネット)を活用した施設運用・保守事業の変革に向けて始動する。新たな収益機会の創出をはじめとする建設業のビジネスモデルの転換への契機となるに違いない。

 □背景にある建設業において持続的成長を見据えたストック型社会対応が急務との現状認識□

 ストック型社会に向けては既存建物のリニューアルやリノベーションでの企画・設計・施工や建物維持管理の効率化などに関する提案が求められている。それら喫緊の課題に対応するためAI・IoTを活用した施設運用・保守事業(O&M=Operation & Maintenance)が注目されている。大成建設でも引き渡し後の施設運用・保守事業に着目し、不動産価値の維持や利用者満足度の最大化、建物保守業務の効率化を図るため、2019年7月に「AI・IoTビジネス推進部」を立ち上げ、用途・機能別に複数ソリューションの検討を開始している。
 日本マイクロソフトではサービス事業本部が中心となり、大成建設が目指すソリューションの具体化と最適なテクノロジーの活用支援などを行い、大成建設のビジネスモデルの転換を支援する。

 □事業継続計画立案・建物運営管理の効率化・作業効率化や安全性向上に向けた解決策志向□

 19年度後期から順次事業展開を予定しているソリューションは以下に集約できる。
 ◇地震発生直後の建物健全性の把握
 大規模地震への対応策としてインフラや生産施設などの事業継続計画(BCP=Business Continuity Planning)の早期立案が求められている。そのため地震発生直後に建物の健全性を迅速に評価し、所有者や管理者にタイムリーに通知するためのシステムを開発している。今後は各種データを収集・管理・運用するためにMicrosoft AzureとWindows 10 IoTベースのエッジデバイス(※)を活用する。
 これによって地震発生直後の膨大なデータ量の処理が求められる状況下において正確で迅速な情報伝達によるBCP初期対応への支援を行う。工場所有の製造業や自治体などからの引き合いがあり、数年で1000件程度の導入を予定している。
 ※エッジデバイス(Edge Device)=別々のネットワーク間同士で通信を行い、データの効果や統合、同期などをシームレスに仲介する機器のこと。
 ◇施設統合運営管理
 竣工後のランニングコスト(運営費、維持管理費など)は建物オーナーには大きな負担だ。ランニングコストを最小化するため、グループ会社と連携し、AI・IoTを活用した建物運営管理業務の効率化のためのサービスの構築と提供を検討している。Microsoft AzureとWindows 10 IoTをベースにした日本マイクロソフトの建物運営管理サービス「スマート・ビルディング・ソリューション」を活用し、ビル管理者向けに建物運営管理業務の効率化支援サービスの実現を目指す。さらに設計・施工と建物運営管理をパッケージ化したビジネスモデルの展開を進め、顧客の資産価値の維持、向上を図る。
 ◇生産施設での従業員の作業状況見える化
 生産施設における作業の効率化や安全性向上に向けて新たなソリューションを開発している。従業員の心拍、体温、姿勢などの身体の状態、所在、作業環境のデータをWindows 10 IoTベースのエッジデバイス経由で随時取得してMicrosoft Azure上に蓄積、関連情報をモニタリングする。AIによる分析などで作業負荷軽減や労働環境を改善するための効率的な作業計画立案、作業状況を考慮した動線・レイアウトなどを検討し、最適な指示やアクションの提示を支援する。
 今後は建物の利用者、所有者、管理者はもとより、建物周辺地域も含めた関係者に対してAI・IoTを活用した施設運用・保守事業の変革を目指し、新たなソリューションを提供していく。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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