技術・商品

このエントリーをはてなブックマークに追加 文字サイズ 

大林組ら/AIでAMD性能最適化/強化学習でパターン構築、従来以上の制振効果発揮  [2019年10月28日1面]

 大林組と人工知能(AI)事業を手掛ける「Laboro.AI」(東京都中央区、椎橋徹夫代表取締役最高経営責任者〈CEO〉)は、重りを動かして建物の揺れを抑制するAMD(アクティブ・マス・ダンパー)を、AIを用いて高性能に制御する技術を開発した。ディープラーニング(深層学習)と、試行錯誤しながら望ましい行動を学習する「強化学習」とを組み合わせる点が特徴。より効率的な制御パターンを編み出すことで、同じ重りでも従来以上の制震効果が期待できるとしている。
 AMDは、屋上などに設置した重りを能動的に動かして制振力として利用し、建物の揺れを軽減する仕組み。従来は、蓄積してきた技術的なノウハウを生かしつつ、建物や重りの加速度などを考慮して、最適な制御パターンを検討することが一般的だった。今回は、揺れを再現するシミュレーターを作成し、ディープラーニングと強化学習により2万回超の試行錯誤を実施。その結果、揺れを最も抑制する制御パターンが構築できたという。
 検討に当たっては、建物と同等に揺れを確認できるモデルとして、大林組の技術研究所(東京都清瀬市)内にある歩行者用の連絡通路橋(長さ約14メートル)を活用。中央部にAIで学習した制御を用いたAMDを設置し、制震対策を講じないケースや、TMD(チューンド・マス・ダンパー)、従来型AMDなどと比較しつつ、揺れと制御の関係性を探った。シミュレーションと実際の計測のいずれも、AIを用いた制御を取り入れたAMDが最も効率的に揺れを抑制できることを確認した。歩行による加振実験では、人がどれくらい揺れを感じるかを示す居住性能の指標を検証。最も揺れが大きくなる周波数帯で、居住性能指標が従来型AMDによる最適制御の2分の1以下になるという結果が得られた。
 Laboro.AIでは、公共交通機関の乗車時の快適性向上や、精密機器の製造機器の振動抑制などの分野に応用できるとみている。ディープラーニングと強化学習を組み合わせAIが自ら最適な動きを学習する試みも、建設用クレーンの操作など即時制御が求められる領域への展開が見込めるとしている。

この記事へコメント

メールアドレスが公開されることはありません。