BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・113/樋口一希/竹中工務店のソーシャルヒートマップ  [2019年10月31日]

「ソーシャルヒートマップ」の解析スキーム

 竹中工務店は、AI(人工知能)技術を用いて位置情報付きのSNS(インターネット交流サイト)の投稿内容を分析し、実際にその場所を訪れた人が思ったこと、感じたことといった質的な評価を可視化するツール「ソーシャルヒートマップ(TM)」(特許出願済・商標出願済)を開発した。10月15日から18日まで幕張メッセで開催された「CEATEC 2019」のブースに展示され、来場者の注目を集めていた。

 □AIでSNSを解析する最先端のデジタルマーケティングを建設業へと援用する意欲的な試み□

 SNS(Social Networking Service)とは、インターネットを介して参加者同士が情報交換をすることで人間関係を構築できるサービスの総称。「交流系SNS」のFacebook、「メッセージ系SNS」のLINE、「写真系SNS」のInstagram、「動画系SNS」のYouTubeなどがある。
 情報インフラとして重要性を増しており、企業の広告・プロモーションに利用して消費者の購買行動などを喚起する広報・宣伝にも積極活用されている。サプライヤー側が消費者の生の声を聴取でき、また消費者と直接対話できるので、その企業や店舗、商品に対する共感を醸成しやすく、デジタルマーケティングにおける主要なツールとなっている。「ソーシャルヒートマップ」は、AIでSNSを解析する最先端のデジタルマーケティングを建設業に援用する試みとして注目できる。

 □ビッグデータ・AIが発達する中で位置情報と街に関する質的評価をリンクさせたデータ提供□

 魅力的な街づくりを計画する際に「人」に関するデータは重要だが、従来は街中の「人流データ」で人の位置や数、滞在時間などを量的に評価していた。一方、人がなぜその場所を選んだのか、その場所がどのような印象なのかといった人の視点での質的評価は難しかった。
 デジタルマーケティングにおいてもSNSの投稿内容を解析した事例は数多くあるものの、街とは関係ない情報を多く含んだ解析が一般的であり、街に関する質的評価と位置情報とがリンクしたデータが求められていた。
 そのような状況下、IoT(モノのインターネット)、ビッグデータ、AI技術が発達する中でICT(情報通信技術)を活用してさまざまなデータを重ね合わせ、魅力ある街づくりに生かす取り組みが模索されていた。「ソーシャルヒートマップ」を用いることで、位置情報と街に関する質的な評価をリンクさせたデータの提供が可能となる。

 □SNSの解析による蓄積データは「マッピング」「グラフ化」「キーワード表示」で可視化□

 「ソーシャルヒートマップ」は、位置情報付きのSNSの投稿内容を独自開発のアルゴリズムで構成されたAIによって解析し、街に関するSNS投稿内容のみを抽出する。SNS投稿内容から投稿者の属性(性別や年代などを推定)、カテゴリー(食事やイベントなど投稿を10種類に分類)、印象(ポジティブ・ネガティブ)を解析して、その場所の質的評価として蓄積していく。蓄積されたデータは「マッピング」「グラフ化」「キーワード表示」で可視化する。これによって位置情報と街を結び付けた質的な評価ができ、発注者への分かりやすくタイムリーに可視化した提案が可能となる。
 主な用途としては、これまでも街づくりに活用されていた政府や自治体の公開データ、街の人の流れを示す人流データや商品などの購買データなどを補完し、テナント誘致、街の活性化施策、社会課題解決に向けた有用なデータ提供が見込める。
 今後は、より精度の高いデータが提供できるよう自治体や民間企業との実証実験を進めるとともに、顧客の「オリジナルデータ」と「ソーシャルヒートマップ」を重ね合わせることで街づくりへの新たな活用方法を探求していく。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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