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台風19号/JR東日本/水郡線第六久慈川橋梁の桁撤去開始  [2019年11月8日4面]

万全を期した桁のつり上げ作業

潜水士らも活躍する(東鉄工業提供)

 JR東日本水戸支社は7日、台風19号で流出した水郡線の袋田・常陸大子間第六久慈川橋梁(茨城県大子町)の桁の撤去を本格的に開始した。橋脚から落ちたり、久慈川にとどまっていたりする七つの桁のうち、四つは岸からクレーンでつりあげ、三つは河川内に設けるヤードから重機で搬送する。工事は東鉄工業が行っており、同日は落下した桁の一つを360トンつりのクレーンで陸に移した。=1面参照
 第六久慈川橋梁は、袋田駅と常陸大子駅間に位置する。橋長137メートル。10月12日に上陸した台風による久慈川の増水で押し流されたとみられ、川に落ちた桁の一部は下流に100メートルほど流されてしまった。六つあった橋脚は二つを残して損壊、流出した。現地の復旧対応は同16日ころに始まり、同28日に桁を撤去するための準備作業が始まった。
 工事名は「袋田・常陸大子間第六久慈川橋りょう撤去災害応急工事」。7日は桁のつり上げに加えて、下流の桁を撤去するためのヤード整備や桁の切断などを実施。東鉄工業の協力会社として、大曽根建設(土工)、三国屋建設(潜水工)、青木重起(揚重工)、関根軌道工業(軌きょう撤去)、コンクリートコーリング(レール・桁切断)が参加。自宅が被災した作業員を含めて使命感を持って工事に従事した。
 桁は軌道設備が付属し、一つが25トンほどになる。原形をとどめないほど変形した桁やレールがあり、東鉄工業水戸支店の中村淳一土木部工事所副所長は「足場が悪く、桁はバランスが崩れている。いつものような手順で行えず、慎重な作業が求められる」と災害復旧のポイントを説明した。朝礼では、重機の災害対策や、揚重、ワイヤ切断といった複数の作業が同時に進行するため、立ち入り制限を徹底することなどを確認した。
 桁はレールを撤去した上で、重心などを確認しながら慎重につり上げた。クレーンを用いる四つの桁の撤去は10日までの4日間で完了させる計画。この日は久慈川の中で三国屋建設の潜水士が支障物の撤去やワイヤ切断の準備などを行った。変形したレールは切断に危険を伴うため、作業員が離れられるようワイヤ切断を用いた。
 現場は、被災当時に水位が渇水期に比べて10メートル以上も上昇し、浸水被害が多発した地域にある。道路橋の桁には流木がつきささったままで、茨城県の給水車や廃棄物処理車両が行き交っている。桁のつり上げは、付近の住民が見守る中で行われ、初老の男性は「早い、段取りがいいんだね」と感嘆していた。作業中には近隣住民から差し入れが届いた。近く下流側の桁の撤去も始まる。中村副所長は「安全を確保し、スピード感を大事に作業を進める」方針だ。

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