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阪神・淡路大震災から25年/次への備え、得た教訓どう生かす/技術開発や法改正進む  [2020年1月17日1面]

マグニチュード7.3の地震で倒壊したビル。阪神・淡路大震災の発生は都市の在り方に大きな影響を与えた

 阪神・淡路大震災の発生から17日で25年。構造物の安全神話を根底から覆し、横倒しになった高速道路など日常が一変した都市の姿は人々の脳裏に刻まれた。得られた教訓をどう生かし次への「備え」につなげてくか-。
 震災を契機に注目を集めたのが免震構造技術だった。震災では死者(6434人)の大半が、倒壊した建物や家具の下敷きになって命を落とした。一方で震源地近くにあった2棟の免震建物は損傷を免れ、免震構造の有効性が実証された。
 震災後、免震構造を採用する建物は急増したが、現在は減少傾向にある。免震ゴムや免制振ダンパーのデータ改ざんが国民に不安感を与えているとの指摘もあるが、首都直下地震や南海トラフ地震など大震災の発生リスクが高まる中、導入促進は急務といえる。
 震災を契機に制定された耐震改修促進法。2013年11月施行の改正では、要緊急安全確認大規模建築物や要安全確認計画記載建築物の所有者に対し、耐震診断の実施と診断結果の報告を義務付けた。耐震性に関する表示制度を創設し、耐震性が確保されていると認定を受けた建築物に表示できるようにした。
 19年1月施行の改正では、避難路沿道の一定規模以上のブロック塀などについて、建物本体と同様に耐震診断の実施と診断結果の報告を義務付けた。国は住宅、多数の者が利用する建築物の耐震化の目標として2020年に耐震化率95%を掲げ、25年には耐震性が不十分な住宅の「おおむね解消」を目指している。
 東京都は東日本大震災が発生した11年に独自の条例を施行し、特に重要性が高い「特定緊急輸送道路」(延長約1000キロ)を指定。民間建築物の耐震化を手厚く支援し、沿道建築物の耐震化率は19年6月末で約86%となった。ただ旧耐震基準建築物(4838棟)は耐震化済みが半数に満たず、都は緊急車両の通行可能性を的確に表す「到達率」という指標を来年度から導入。建物が道路をふさぐリスクを減らすため耐震化率を追う方針をあえて転換する。
 13年施行の改正耐震改修促進法は、不特定多数が利用する大規模建築物の耐震診断の実施と結果公表を義務付けた。倒壊する危険がある施設の公表は反響を呼び、耐震改修に乗り出す事例が増えてきている。
 インフラ管理者の取り組みも続く。JR東日本は阪神・淡路大震災以降、高架橋柱や橋脚、駅舎の補強を進めていたが、11年3月の東日本大震災でも被害が生じた。首都直下地震の発生も懸念され、盛り土や駅の天井を対象に加えた補強計画を策定。24年3月の完了を目指し対策に注力している。29年3月末の完了を予定する首都直下地震の対策も進めている。各高速道路会社は、大規模地震の発生確率を踏まえた耐震補強や、緊急輸送道路の機能を確実に確保する取り組みに力を入れている。
 ある大手ゼネコンの首脳は「備えの意識が高まり、その後の災害対応につながった」と阪神・淡路大震災を振り返る。その上で「何年たったから『復興した』とわれわれからは言えない」とも話す。被災地のうち神戸エリアは大規模な再開発が始動する。過去の災害と向き合い、次の災害に備える。教訓を生かす街づくりに期待がかかる。

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