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土木学会/台風19号踏まえ提言/「多段階」で水害リスク明示、都市計画に反映を  [2020年1月24日1面]

林会長

 土木学会(林康雄会長)は23日、昨年10月の台風19号災害を踏まえた防災・減災に関する提言を発表した。降雨量に応じ、どの領域がどの程度氾濫するかといった段階的な治水安全度が分かる「多段階リスク明示型浸水想定図(仮称)」の作成・公表を行政に要請。地域・都市政策と治水政策が一体となった流域治水の実現を目指すとしている。
 多くの河川を対象に、氾濫で起こり得る最大浸水深を示したハザードマップが作成されているが、避難に使用することを目的としている。土木学会はそれとは別に、土地利用や人の住み方に役立つ浸水想定図が必要だと指摘。人命に関わるリスクが想定される地域は災害危険区域に指定するなど、居住制限を行うべきだとした。
 氾濫リスクの高低を公表した上で、水災保険制度を拡充したり、不動産取引で宅建業者がこの情報を重要事項説明に含めることを義務化したりするよう求めた。河川管理者と自治体には、堤防整備や河道掘削、遊水池の整備に加え、既存ダムの徹底活用などによって抜本的な安全度の向上を図るよう要請。関係機関が連携した「大規模氾濫減災協議会」のような組織の設置も促している。
 同日、東京都内で記者会見した林会長は「昨年、一昨年と雨の降り方が今までと様相が違っている」と指摘。流域治水では「どういう風な雨が降れば、どこの地域でどのような氾濫が起きるか分かりやすくする必要がある」と述べ、多段階の浸水想定を明示する重要性を強調した。
 台風19号の襲来時、記録的な降雨によって100カ所以上に上る堤防決壊や土砂災害、高潮災害が東日本の広いエリアで発生した。関東、東北地方を中心に死者・行方不明者96人、住宅被害約9万棟などの被害をもたらした。
 同学会は発災直後から災害調査を行ってきたが、それとは別に林会長を団長とする総合調査団を設け、主に河川の氾濫を対象に集中的な現地調査を実施。今後の国土づくりに求められる要点を提言にまとめた。

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