BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・126/樋口一希/竹中工務店にみる建設業のデジタル戦略  [2020年2月27日]

BIMデータを活用する「建設ロボットプラットフォーム」の概略

 ソニーがプロトタイプの自動車を発表し、トヨタがスマート(コネクテッド)シティーの建設を公表する時代状況の中、ゼネコンのデジタル化戦略も加速化している。竹中工務店の最新動向を通してBIMに象徴される建設業のデジタル化戦略を俯瞰してみよう。

 □ロボット施工・IoT分野における技術連携に向けて竹中工務店と鹿島が基本合意書を締結□

 1月30日、竹中工務店と鹿島は連名で建設業界全体の生産性向上や魅力向上を目指し、基本合意書を締結、ロボット施工・IoT分野における技術連携に対する指針を発表した。
 他の多くの産業分野と同様、ゼネコンを取り巻く環境が激変し、さまざまな課題が顕在化する中、ゼネコン各社では施工ロボットやIoTを活用した施工支援ツールの開発を個別に進めている。そのため実際に実務利用する協力会社にとっては、それぞれ異なる操作方法を習得する必要があるなど、負担が大きく、各社ごとに生産する施工ロボットの台数では開発コストが回収できるまでの量産は難しく、結果的にロボットの本体価格が高額となり、現場普及を妨げる要因となっている。
 それらの課題を解決するため、両社では類似技術の重複開発をなくし、施工ロボットの普及を加速させるため「機械遠隔操作システム」「場内搬送管理システム」を共同開発していく。加えて開発済み技術の相互利用として、鹿島が開発した「溶接ロボット」や竹中工務店が開発した「清掃ロボット」を両社の現場で活用していく。

 □BIMデータを活用してロボットが自律走行する「建設ロボットプラットフォーム」を開発□

 竹中工務店は、前述したロボット施工・IoT分野における技術革新を推進するため、建てる=施工BIMデータを活用し、ロボットが自律走行するための経路・範囲シミュレーションおよび遠隔操作・監視を可能とする基盤システム「建設ロボットプラットフォーム」を開発した。「建設ロボットプラットフォーム」はクラウド上で稼働し、施工中の建物内におけるロボット運用に寄与するもので、ブレインズテクノロジーに委託して開発を進めた。
 従来、施工中の建物内での建設ロボットの運用ではカラーコーンをターゲットとして作業範囲を指定する必要があり、ロボットや機械の稼働台数の増加、機能の高度化に伴う保守・運用に関する管理業務が多様化するなど管理業務の効率化が喫緊の課題となっていた。
 「建設ロボットプラットフォーム」は、BIMデータを活用することで、搬送ルートの指定作業を不要とするだけでなく、カラーコーンが見える範囲でしか使用できなかったロボットの作業範囲も大幅に拡大できる。またロボットを保有するレンタル会社と共に台数の増える建設ロボットの稼働状況を管理することで保守運用業務の効率化が期待できる。

 □クラウド上でBIMデータを地図情報としてロボットの移動および動作範囲を設定し自律走行□

 「建設ロボットプラットフォーム」の最大の特色はBIMデータとの連携によって自律走行することだ。クラウド上でBIMデータを地図情報としてロボットの移動および動作範囲を設定し、遠隔指示でのロボットの自律走行を可能にしている。そのため一般的に行われているロボット走行のための現地での事前のティーチングや磁気テープ・2次元コードなどによる動作範囲指定といった手間を省くとともに動作範囲の最適化を図ることが可能だ。
 遠隔監視とソフトウエア開発の効率化も実現している。クラウド上での建設ロボットのバッテリー状態、異常状態の遠隔監視を行うのに合わせて、ロボット制御などの共通ソフトウエアの開発・更新、各種センサーなどの先端デジタル技術との複合的な開発・適用による改良のスピード化が可能となっている。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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