BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・130/樋口一希/定点カメラ映像による進捗管理システム  [2020年3月26日]

システム構成図

 安藤ハザマ、日本マルチメディア・イクイップメント、富士ソフト、計測ネットサービスおよび宮城大学で構成する「映像進捗(しんちょく)管理システム開発コンソーシアム」(※)は、建設現場の進捗管理を効率的に行うための「定点カメラ映像による進捗管理システム」を開発した。
 ※https://otsuchi-prism.jp/

 □映像情報だけでは工事の完成形状に対する進捗状況が直感的に分かりにくいなどの課題解決□

 建設現場においては、効率的な進捗管理に向けて工事の施工状況を定点カメラで常時モニタリングして現場事務所などの遠隔地から映像を通して現場状況を確認する事例が増えている。一方、映像情報だけでは工事の進捗状況を把握する際に工事の完成形状に対する進捗状況が直感的に分かりにくく、施工量(盛り土量等)や距離・面積などの定量的な情報が取得しづらいなどの課題があった。加えて、稼働しているダンプや建機の台数などの変化する情報を迅速に把握できない点の解決も求められていた。
 定点カメラ映像による進捗管理システムは、それら課題の解決とともに、施工者だけでなく発注者もシステムを用いて映像を確認できるため受発注者双方で情報を共有することが可能だ。
 コンソーシアムは内閣府の官民研究開発投資拡大プログラム(PRISM=Public/Private R&D Investment Strategic Expansion Program)の枠組みを活用した国土交通省の「建設現場の生産性を飛躍的に向上するための革新的技術の導入・活用に関するプロジェクト」に選定されている。

 □定点カメラによるリアルタイム映像を疑似的な3次元映像に変換して進捗管理へ援用する□

 定点カメラ映像による進捗管理システムでは、現場に設置した4K解像度の定点カメラによるリアルタイムな映像を瞬時に疑似的な3次元映像に変換して、CIMモデル、振動ローラのGNSSデータ(※)、深層混合処理工の施工データを重ねて表示することで工事の完成形に対する進捗状況が直感的に把握しやすくなる。半日分の施工量(盛り土の定量的な情報)とその施工範囲が映像上に表示されるので進捗管理と次工程の施工計画立案に活用できる。
 パソコン画面を直接タッチして映像上の任意地点の距離や面積を瞬時に算出できるので、日々の出来高管理や資機材の配置計画といった簡易的な測量が画面上で可能だ。
   AIによる建機の識別では、ダンプ、バックホウ、ブルドーザー、振動ローラーを識別対象として識別結果を進捗レポートで表示する。進捗レポートには、ダンプの計画運搬台数に対する実績が30分ごとの時系列グラフで表示されるので、施工途中での予実管理が可能で、ダンプの滞留状況など通常とは異なる動きを早期に発見し、原因を分析できる。
 ※GNSS(Global Navigation Satellite Systems)=汎地球測位航法衛星システムの略で、衛星を用いた測位システムの総称。

 □アイドルタイムの減少で現場技術者が他業務に注力する時間が増えて生産性の向上に貢献□

 現場技術者が工事の進捗状況をリアルタイムに確認できるため現場に立ち会う回数や時間が削減され、ダンプ運搬の時系列グラフによりダンプの滞留状況などの傾向を把握し、その原因を分析できるようになった。パソコン画面上で現場の距離や面積が算出できるため、簡易な測量作業の代替となり、現場技術者が行っていた測量の作業時間も大幅に削減できる。その結果、アイドルタイムが減少し、現場技術者が他の業務に注力する時間が増え、建設現場の生産性が向上することが確認されている。
 今後はダムや処分場の工事などへも展開し、現場管理のムダ・ムラの早期発見、是正を図り、建設現場のさらなる生産性向上に取り組んでいく。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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