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新型コロナウイルス/設計各社、中長期的な影響懸念/発注機関は柔軟な対応を  [2020年5月14日1面]

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、建築設計事務所各社が先行きを見通せない状況に陥っている。建設工事の延期や中止が相次ぐ中、建築設計3団体が会員を対象に緊急アンケートを実施。足元の環境や課題を聴取したところ、民間投資の低下などを理由に受注機会の減少を懸念している声が多く寄せられた。感染拡大の収束が見えず、各設計事務所には新規領域の発掘など経営基盤の強化に向けた取り組みが求められる。
 緊急アンケートを行ったのは、▽日本建築士事務所協会連合会(日事連、佐々木宏幸会長)▽日本建築士会連合会(士会連合会、三井所清典会長)▽日本建築家協会(JIA、六鹿正治会長)-の3団体。
 日事連は都道府県の建築士事務所協会(単位会)、士会連合会は全国40の建築士会、JIAは各エリアの支部長に対しテレビ会議でヒアリングを実施。会員の経営状況や業務の執行体制などを聴取した。
 コロナ禍による外出自粛や国内外への移動制限が足かせとなり、企業活動への影響が出始めている。士会連合会、JIAの会員からは「営業が全くできない」や「契約予定業務の見合わせが多発している」などの意見が上がった。民間を中心とする設備投資や発注案件の減少に伴う先行きの不安を口にする会員は多く、業界幹部は中長期的に「大きな影響が出る可能性がある」と吐露する。
 各会員からは企業活動をを継続していくための要望も挙がった。5年に1度行う建築士事務所登録など諸手続きの延伸、建設工事等競争入札参加資格の有効期限の延長など発注機関に柔軟な対応を求める企業も存在した。新型コロナの影響で「業績が赤字になっても入札参加資格の付与」を望む声も寄せられた。
 各社が展開しているテレワークでも課題は残る。コミュニケーションの量、質が低下して認識の違いや確認の不備などが原因で「(受発注者間で)トラブルを招く恐れがある」と指摘する会員も多い。在宅勤務に踏み切った設計会社は「通信環境の整備などに多額のコストがかかる」と回答。追加の設備投資が経営圧迫にもつながっているようだ。
 対応に苦慮している会員に対し、日事連は緊急時、短期、中長期の3段階に応じた対応施策を公表。経済支援や在宅勤務を行うための技術的支援を展開する。国や自治体に対してはプロポーザルの確実な発注と実施、競争入札参加資格の有効期限の延長など柔軟な制度運用を求めていく考え。JIAも今後、全会員に現状などをアンケートし実態把握に努める考えだ。

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