BIMのその先を目指して

このエントリーをはてなブックマークに追加 文字サイズ 

BIMのその先を目指して・137/樋口一希/鹿島がBIMによるデジタルツイン実現  [2020年5月28日]

 鹿島は、BIM推進モデルプロジェクトであるオービック御堂筋ビル新築工事(大阪市中央区)において工程の各フェーズでの建物データの連携を可能にするBIMによるデジタルツインを実現した。  オービック御堂筋ビルは、S・SRC・RC造地下2階地上25階建て延べ床面積5万5753平方メートルのホテル、ホール(集会場)、事務所、飲食店舗、展示場、駐車場からなる複合ビルで設計・施工は鹿島の関西支店。

 □我が国では初の実現事例となる建物の全てのフェーズでのBIMによる「デジタルツイン」□

 鹿島は建物の企画・設計から施工、竣工後の維持管理・運営までの各情報を全てデジタル化し、それらを仮想空間上にリアルタイムに再現する「デジタルツイン」を推進しているが、今回のプロジェクトでの建物の全てのフェーズでのBIMによる「デジタルツイン」は我が国初の実現事例となる。
 今後はBIMデータの利活用範囲をより一層拡大し、建築プロジェクトにおけるさまざまな業務の効率化を図っていくとともに、建物オーナーや利用者の利便性・快適性と建物資産価値のより一層の向上に貢献していく。

 □一貫した建物情報をデジタル化し広く市場に提供することが建物資産価値の向上に資する□

 我が国ではSociety5.0の実現に向けたさまざまな取り組みが進められており、主に製造業に出自を持つデジタルツインへの関心が高まっている。鹿島も高品質な建物を提供することはもちろんのこと、企画・設計から竣工後の維持管理・運営までの一貫した建物情報をデジタル化し、広く市場に提供することが建物資産価値のさらなる向上に資すると捉え、BIMの活用を積極的に推進している。
 そのような状況下、「鹿島スマート生産」も標榜し、「全てのプロセスをデジタルに」をコアコンセプトの一つに掲げ、BIMを基軸とした新たな生産システムの構築に取り組んでいる。

 □企画・設計+施工+維持管理・運営の各フェーズでBIMによるデジタルツインを具現化する□

 企画・設計フェーズにおいては、ビル風シミュレーションによる周辺環境への影響評価を行い、気流シミュレーションによる規格化したモジュールの評価・改善を実現、各種設備構成のモジュール化の検討と設計(モジュールプランニング)も採用している。
 施工フェーズでは、設計段階で決定した各モジュールをプレファブ・ユニット化(モジュールコンストラクション)するとともに、工事プロセスのデジタル化ならびに進捗(しんちょく)管理を行うことで、仮想空間と現実空間を複合させるMR(Mixed Reality)技術を活用したモジュールモデルと実際の施工状況の確認を可能にした。
 維持管理・運営フェーズでは、グループ会社の鹿島建物総合管理が運営するファシリティマネジメント・プラットフォームとBIMデータを連携、日常点検から得られた情報や中央監視設備からの各種情報をファシリティマネジメント・プラットフォームへ集積の上、ビッグデータ化し、得られた知見を企画・開発へフィードバックする。

 □建物のライフサイクルコスト低減に向けたトータルソリューションへと結実するのが目的□

 我が国初の建物データの連携を可能にするBIMによるデジタルツインを全国の建築プロジェクトに展開することで、各フェーズにおける業務の効率化を図るのと合わせて高品質かつ高価値な建物を提供する。
 竣工後の維持管理・運営においては、すでに開発を完了した「鹿島スマートBM(ビルディング・マネジメント)」と連携の上、設備の最適調整による省エネ化、機器の長寿命化および故障予測の組み合わせにより、建物のライフサイクルコスト低減に向けたトータルソリューションへとつなげていく。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

この記事へコメント

メールアドレスが公開されることはありません。