BIMのその先を目指して

このエントリーをはてなブックマークに追加 文字サイズ 

BIMのその先を目指して・138/樋口一希/新菱冷熱工業の「換気見直しチーム」  [2020年6月4日]

待合エリアの気流を数値流体シミュレーションで高精度に再現

 新菱冷熱工業は、感染症対策の重要性の高まりを受け、地域の基幹病院や医療施設などを中心に、院内環境をより安全に保つ換気の見直し提案を進めていくと発表した。

 □営業と設計担当者による「換気見直しチーム」を編成して対応し最も効果的な手法を提案□

 新型コロナウイルス感染症の拡大により、病院・医療施設内の安全な空気環境を保持することは喫緊の課題となっている。中でも換気は感染発生リスクを抑えることにつながるとされ、室内の空気を入れ替えて密閉空間の状態を改善することが推奨されている。
 新菱冷熱工業では、新型コロナウイルスの感染拡大防止に空調技術で貢献できないか4月から社内で議論を重ね、現時点で最も効果的な手法として安定的な換気を構築する提案を進めることになった。提案は営業と設計担当者による「換気見直しチーム」を編成して対応し、全担当者は新型コロナウイルスの感染経路や空調設備と新型コロナウイルスの関わりなどに関する知識を事前に学んだ上で換気の見直し提案を進める。

 □気流や温度分布などをシミュレーションすることで空気環境をわかりやすく見える化する□

 換気の見直しには換気の状態を高精度に再現可能な数値流体シミュレーション(CFD)技術を駆使する。CFDは、エアロゾル粒子の濃度分布もシミュレーションすることが可能で、病原体などの空気中での挙動を再現できるとともに、院内空気の「よどみ」を見つけて風の流れを明らかにし、リニューアル前後の環境改善効果の比較も可能となっている。
 CFD採用の利点は、気流や温度分布などをシミュレーションで再現することによって空気環境をわかりやすく見える化できることだ。高性能サーバーマシンを用いた解析精度は誤差±5~10%以内と高く、実環境を高精度に再現することができる。CFDによるシミュレーション解析に30年前から取り組み、解析数は毎年100件以上となっている。

 □多数の部屋や通路など広域を対象にした室圧制御システムの構築技術も合わせて提供する□

 室圧制御技術とは、室圧を高くして室外から汚染物質が流入するのを防いだり、逆に室圧を低くすることで室内で発生する汚染物質の室外流出を防止したりする技術だ。最近の病院・医療施設では、目標の室圧を高い精度で維持することが求められるだけでなく、多数の部屋や通路など広域を対象にした室圧制御へのニーズが高まっている。
 院内の換気を見直す場合、施設全体で調整された室内圧力(室圧)バランスが崩れないことと、正常なバランスが維持されていることに注意を払わなくてはならない。これらの課題に対しては、室圧計算プログラムによって複雑な制御機器の動作を予測することで安定性の高い室圧制御システムの調整をスムーズに行うことができる。施設の一室を陰圧化するようなニーズにも室圧バランス調整を含めて対応することが可能だ。

 □CFDや室圧制御システム+感染症対策の装置や技術を用いたトータルプランニングも提案□

 診察室用簡易プッシュプル装置(クリーンパーティション)は、患者から発生する病原体を気流で捕捉し、HEPAフィルターで除去する。病原体暴露量が5%以下に抑えられるため医師の感染リスクを低減できる。工事が不要で既設の病院にも導入可能だ。
 問診室の感染対策技術は、医師と患者をスクリーンで遮断し、医師側に清浄な空気を供給しながら病原体を室外に排出・除去する感染対策空調システムだ。パンデミック(世界的大流行)時だけでなく、通常時の外来でも感染対策効果のある問診室として使用できる。
 陰圧室用漏えい防止装置「SEPAREAR」は、病室と廊下の間に、0・3m/s以下の低風速で水平な一方向流の空気を流すことで、病原体の流出入を防ぐ感染対策技術だ。導入によって清浄エリアの病原体濃度を汚染エリアの10分の1以下に維持できる。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

この記事へコメント

メールアドレスが公開されることはありません。