論説・コラム

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回転窓/疫病が国のカタチを変える  [2020年6月8日1面]

 日本初の歴史書『日本書紀』が奈良時代に編さんされ、今年で1300年という節目を迎えた。神代から持統天皇の時代までを伝える「正史」には、遣隋使の派遣や乙巳(いっし)の変など古代の出来事が記されている▼崇神天皇五年には全国で疫病が大流行し国民の半分以上が死亡した記録が残る。原因不明の感染症が地震や火事よりも恐れられていたことを今に伝える▼時代が下り幕末。感染症の代表だった天然痘に医療の施しようがない中、蘭方(らんぽう)医の緒方洪庵がオランダ文献を翻訳して牛痘種痘のワクチンの存在を学んだ。ワクチン接種の効用が西洋の医術や技術の信用につながり、明治期に西洋文化を受け入れる素地にもなったそうだ▼疫病が国家や社会のありようを変えてきたとも言える。新型コロナウイルス感染症も私たちの生活や働き方を変革させるに違いない▼必要に迫られ取り組んだテレワークや時差出勤などが「新しい生活様式」として継続、定着の段階に入ろうとしている。仕事内容や業種で課題はあろう。コロナ前に戻るのか、新しい様式が定着するのか-。将来の在り方を決める岐路にある。

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