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大林組ら/宇宙エレベーター見据え2度目の実験開始/ケーブル向け材料の損傷度確認  [2020年6月12日3面]

「きぼう」での試験体取り付けの様子

「きぼう」の実験スペース

 大林組らは宇宙エレベーター構想を見据え、ケーブル材料向けに改良したカーボン・ナノ・チューブ(CNT)の宇宙環境暴露(ばくろ)実験を開始した。金属系とケイ素系の2種類の材料で被覆した試験体を作製し、国際宇宙ステーション(ISS)の日本実験棟「きぼう」で損傷度合いを確認する。実験は今回で2度目となる。
 同社と静岡大学、有人宇宙システム(東京都千代田区、古藤俊一社長)による共同プロジェクト。宇宙航空研究開発機構(JAXA)の簡易暴露実験装置の利用テーマに位置付けられている。大林組の宇宙エレベーター建設構想では、軽量かつ高強度のCNTをケーブルに利用することを想定している。ケーブル総延長は約9万6000キロ。
 2015~17年に最初の宇宙暴露実験を実施した際は、原子状の酸素が衝突したと考えられる損傷が見られたという。多層CNT繊維をより合わせた「CNTより糸」は、前面で暴露した方が大きく損傷することも確認した。
 この経験を踏まえ今回は被覆した試験体を用いる。金属系材料は、耐環境性が高く加工性にも優れる。比重が大きいため被覆で重量が増えるが、設計条件を調整することで宇宙エレベーターに適用可能だと想定している。早稲田大学と日立造船が実験に協力する。
 一方のケイ素系材料は、金属系材料に比べて軽量で柔軟性などにも優れるという。人工衛星のシート状外装材として宇宙空間での使用実績があるため、その劣化度合いと今回の実験結果から耐用年数を予測し、メンテナンス計画の立案が可能と見ている。東亞合成の協力を得て実施する。
 2種類の試験体を、ISS進行方向の前面と背面で、それぞれ1年間と2年間暴露する。試験体は既に打ち上げられており、今夏以降に1年目の試験体、21年夏以降に2年目の試験体が帰還する予定だ。

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