BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・142/樋口一希/鉄骨BIMモデルのデジタル承認  [2020年7月2日]

鉄骨BIMソフトとのデータ連携とデジタル承認

 大林組は、構造設計分野のBIMソフトによって構築されたBIMモデルを複数の主要な鉄骨BIMソフトと連携する手法を確立するとともに、鉄骨BIMソフトを用いて作成された鉄骨詳細BIMモデルを工事監理者や施工者がデジタルデータのまま承認する「デジタル承認」の実用化を開始した。

 □鉄骨BIMソフトでも部材登録や配置などを手作業で行い鉄骨BIMモデルと製作図を作成□

 以前から大林組ではBIMモデルを基盤情報として位置付け、構造設計分野においても構造設計図書の一般図類、断面リストを構造設計BIMモデルから出力するなどBIMモデルを主体としたワークフローを標準としている。
 一方で、鉄骨工事においては、これら構造設計のデジタル情報があるにもかかわらず、多くの鉄骨製作会社が構造設計図書から構造情報を読み取り、鉄骨BIMソフトを用いて通り芯から部材の登録や配置、仕口や継ぎ手などの詳細化までを手作業で行うなど鉄骨BIMモデルと鉄骨製作図を作成していた。合わせて工事監理者や施工者は、鉄骨の納まりや工種間の整合などについてはBIMモデルで確認するものの、主要な情報についてはBIMモデルから出力された鉄骨製作図を各種図面類と目視で照合することで承認していた。

 □主要な鉄骨BIMソフトへ構造設計情報を伝達+鉄骨BIMモデルをデジタルデータで承認□

 従来のプロセスでは、各段階で人為的なミスが起こる可能性があり、鉄骨製作会社においてはBIMモデルと鉄骨製作図を並行して整備する際に生じる図面とモデルの不整合や作業量の増大化、工事監理者や施工者においては膨大な量の鉄骨製作図を確認するための作業負荷がかかることなどが課題となっていた。
 今回、大林組が開発した手法は、図面を介さずに主要な鉄骨BIMソフトへ構造設計情報を伝達し、鉄骨BIMモデルをデジタルデータのまま承認するものだ。これにより鉄骨製作会社の鉄骨BIMモデルの作成にかかる労力を大幅に削減するとともに、工事監理者や施工者にとっては全部材の整合を瞬時に判定することができ、一連のプロセスで効率化を図りながらケアレスミスのない結果を残すことが可能となった。

 □構造設計BIMモデルによるデジタルデータの複数の主要な鉄骨BIMソフトへの連携を実現□

 構造設計BIMモデルと鉄骨BIMソフト間で連携ルールとパラメータを共通化することで、各種鉄骨BIMソフトが構造設計のデジタルデータを自動的に読み込み再現する。鉄骨製作会社が運用する鉄骨BIMソフトは多数存在するが、今回の手法によって特定の鉄骨BIMソフトに限定されないため、どの鉄骨製作会社へも構造設計情報を伝達できる。
 伝達可能なデジタルデータは、通り芯、部材(断面・仕様)+配置だけでなく、継ぎ手、大梁のハンチ、スラブといった構造情報や部材が有する仕上げ情報など多岐にわたっている。
 鉄骨BIMモデルの詳細化に着手する前に、あらかじめ鉄骨の納まり基準やモデリングの要領を決定するので、鉄骨製作会社においてはルールに準じた精度の高い鉄骨BIMモデルが短時間で構築でき、早期に鉄骨工事関連の検討を開始できる。
 鉄骨BIMモデルの形態情報を用いた確認に加え、鉄骨BIMモデルが有する情報(部材断面・配置・仕様・仕口・継ぎ手・付帯類など)については図面ではなくデジタルデータそのもので承認する。鉄骨BIMソフトのフィルタリング機能により属性情報を色の違いで識別する手法、構造設計データベースとの照合および各種基準図への適合をエクセルで判定する手法を定め、これらの判定結果を組み合わせて承認すべき情報の正しさを評価する。
 (訂正:6月25日付12面・第141回の連載原稿中、講演者の加藤誠氏の肩書に誤りがありました。正しくは鹿島建築管理本部建築設備部工務グループスマート生産推進チームリーダーです)
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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