BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・143/樋口一希/建物設備と複数ロボットの統合制御技術  [2020年7月9日]

技術研究所本館へ実装した建物設備とロボットの統合制御技術

 清水建設は、ロボットを活用したさまざまなサービスを建物内で提供可能とする「ロボット対応型」施設の実現に向け、エレベーターなどの建物設備と複数種類のサービスロボットを共通のインターフェースを介して統合制御する技術を開発し、技術研究所本館に実装した。

 □コロナ禍ではロボットを活用した非接触型サービスのニーズがより一層高まる予想□

 少子高齢化などの進展により、さまざまな局面において人手不足が社会課題として顕在化する中、警備、清掃、案内、送迎、配送などの建物サービスの担い手としてロボット活用が期待されている。特に新型コロナウイルスの影響により感染症対策の強化が求められる環境下、ロボットを活用した非接触型サービスのニーズがより一層高まることが予想される。
 すでにロボットを活用した建物サービスは導入実績があるが、その多くが単一フロア内での稼働を前提としたサービスにとどまっている。加えて、建物とロボットの連携機能がサービスごとに個別開発されるケースが多いため、建物内で複数のロボットサービスを同時に提供することが難しいという課題があった。
 今回の技術実装によって複数のロボットをエレベーターに順番に乗り込ませ、狭い通路を譲り合って通行することが可能となり、一つの建物内に多様なロボット活用サービスを同時に導入できるようになった。

 □建物側のBIMなどによる高精度3次元点群地図データなどとも連携させて協調動作を実現□

 開発実装した建物設備とロボットの統合制御技術は、研究開発を進めてきた施設・街区と自動運転車両・ロボット間の連携基盤(自動運転プラットフォーム)を利用して開発している。
 自動運転プラットフォームのAPI(Application Programming Interface)を介して建物内で稼働する車両・ロボットの運行管理ソフトウエアと建物側のBIMなどによる高精度3次元点群地図データ、自動運転管制・監視システム、エレベーター制御システムなどを連携させることによってフロアを横断して稼働する複数種類のロボットの協調動作を実現している。

 □ロボットが位置の推定に利用する高精度3次元点群地図を建物のBIMデータから自動生成□

 技術研究所本館では、エレベーター1台と自動運転プラットフォームの共同研究先であるティアフォー社製(※1)の物流用ロボット「Logiee(ロージー)」(※2)+NECネッツエスアイが販売する案内ロボット「YUNJI SAIL(ユンジ セイル)」を自動運転プラットフォームに接続し、2種類のロボットが建物の上下階を自由に移動しながら同時並行でサービスを提供できるのを実証した。統合制御技術と併せてロボットが自己位置推定に利用する高精度3次元点群地図を建物のBIMデータから自動生成する技術も確立した。
 技術導入した建物では、サービス事業者がロボットと建物設備の連動システムを独自開発する必要がなくなるため、新たなロボット活用サービスを容易に展開でき、建物利用者の利便性と建物価値の向上につながることが期待できる。今後は同技術で統合制御を行う建物設備やサービスロボットの拡充を目指し、ロボットサービス事業者等に共同実証への参加を働き掛けていく。
 (※1)ティアフォー=名古屋大学発のベンチャーとして2015年12月に設立された世界初のオープンソースの自動運転OS「Autoware」の開発を主導するディープテック企業。さまざまな組織、個人が自動運転技術の発展に貢献できるエコシステムの構築を目指している。「Autoware」はThe Autoware Foundationの登録商標。
 (※2)Logiee=ティアフォー社のクラウド上の運行管理システム経由で自動運転プラットフォームに接続する。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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