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空調設備会社/気圧コントロールで感染予防/技術・ノウハウ生かし成長分野に  [2020年7月13日1面]

患者のせきに含まれる細菌をそのまま外に漏らさない「バリフード」(高砂熱学工業)

「空気清浄・陰圧化ユニット」(ダイダン)

 新型コロナウイルスの感染拡大を契機に、空調設備工事会社が保有する室圧や気流を調整する空調技術への関心が高まっている。感染症予防対策の強化が求められる医療施設などから注文や問い合わせが増加。コロナ禍による景気低迷が懸念される中、蓄積してきた技術やノウハウを生かせる成長分野とも言え、多様なニーズに対応しようと新技術開発に乗りだす会社も出てきた。社会貢献という側面もあり企業や業界の存在感アップにもつなげていく。
 「空気感染を防ぐために陰圧病室を作りたい」-。新型コロナ患者を受け入れる病院から、ある設備工事会社に要望が寄せられた。清潔な空気環境が求められる病院や福祉施設では換気や空気清浄の設備が必須となり、新型コロナではより厳格に対応する必要がある。既存商品で対応できる領域もあり、各社は積極的な姿勢を示す。
 高砂熱学工業の医療用クリーンブース「バリフローIII」と「バリフード」は、陰圧と陽圧を簡単に切り替え、菌の流出を抑え空気感染の防止につなげる。空気中の菌が除去できるフィルターを搭載し、清潔な空気を排出する。新型コロナが流行する前は注目度が低かった。だが2月中旬ころから問い合わせが増え、6月末時点で合計で約180件となっている。6日には厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金」の申請条件を満たしたと発表。特任チームを編成し提案活動を強化する。ニーズを踏まえ、増産体制を構築済みだ。
 ダイダンは、空気清浄と同時に室内を陰圧にできる「空気清浄・陰圧化ユニット」を販売中だ。年間数件程度の問い合わせ数が、2月ころから6月末までの間に約70件まで増加した。三建設備工業は、気流を制御し室内外への菌の侵入や流出を防ぐシステムを新型コロナ患者の受け入れ先から注文を受け納品した。
 既存技術だけでは対応できないニーズや領域にも取り組むべく、技術開発も始まっている。ダイダンは、診察室や検査室でのクラスター(集団感染)発生を防ぐ新ユニットの開発に着手した。新日本空調、大気社も新製品を開発中という。
 新型コロナで脚光を浴びる感染症対策。国民や医療従事者の安全・安心に直結する分野であり、「企業価値や業界の存在意義を示すチャンス」との声も上がる。ダイダンは開発製品を展示会へ出展し、技術力をアピールする方針だ。
 一方で、外出自粛に伴い外来患者らが減少した病院や、新型コロナ患者を受け入れた病院では経営が悪化している状況があり、病院などの設備投資を不安視する見方もある。医療施設などのニーズを踏まえた技術開発やコスト縮減などが今後も必要になっていきそうだ。

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