BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・145/樋口一希/外壁タイル打診検査にMR活用  [2020年7月30日]

HoloLens 2を着けた打診検査の様子(写真左)。右上は検査記録項目選択画面、右下はタイル浮き入力例

 長谷工コーポレーションとアウトソーシングテクノロジー(※)は、日本マイクロソフトと連携して最先端のデジタル技術を活用し建設・不動産業界の生産性改革を推進する一環として、マンションの外壁タイル打診検査のためのMR(Mixed Reality=複合現実)ソリューション「AR 匠 RESIDENCE(エーアール・タクミ・レジデンス)」を共同開発した。7月から長谷工リフォームが建物診断を行う関東エリアに導入し、順次、全国へ活用を広げていく予定で、マンションのタイル打診検査に活用されるのは国内初。

 □施行規則改正で歩行者などに危害を加える恐れのある外壁について全面打診調査が義務付け□

 マンションの外壁は劣化などによる剥落リスクがあり定期的なメンテナンスが必須だ。2008年の建築基準法施行規則の一部改正では10年ごとにタイル張り、石張り、モルタルなど歩行者などに危害を加える恐れのある部分の外壁については全面打診調査が義務付けられている。
 それらに加えてマンションのストックが増大し続ける中、長谷工グループでは建物維持・メンテナンスに対応する要員不足や昨今の新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点からも、建物診断時のファーストラインワーカーを極力減らすことが可能なことから、居住者の安心・安全につながるサービス提供ができると考え、マンションの建物診断の現場に先端技術のMRを導入する運びとなった。
 アウトソーシングテクノロジーでは、年内に他の建設・リフォーム会社を対象に「AR 匠 RESIDENCE」の販売受け付けとトライアル運用を開始する予定だ。

 □マイクロソフトのヘッドマウントディスプレー「HoloLens 2」装着で点検+記録作業実施□

 「AR 匠 RESIDENCE」は日本マイクロソフトの技術協力を得て、長谷工とアウトソーシングテクノロジーの共同開発によって実現した外壁タイル打診検査のためのMRソリューションだ。「AR 匠 RESIDENCE」を活用する外壁タイル打診検査は、現場の作業員(検査者)がマイクロソフトのヘッドマウントディスプレー「HoloLens 2」を装着して点検+記録作業を行う。
 従来の検査は2人1組で実施し、1人が打診検査を行い、1人が図面を持ち、外壁の浮きやクラックの記録と写真撮影を行う。検査後には事務所で指摘箇所を図面にプロットし写真の照合、集計などの報告書作成を行う。長谷工が6月に実証実験を行った結果、現地での建物診断の作業量は変わらず、報告書作成業務がほぼ半減したことから、全体業務の約30%を削減できることが判明している。

 □外壁検査にとどまらず位置情報を活用したデジタルトランスフォーメーション実現を目指す□

 長谷工では「AR 匠 RESIDENCE」の改良を重ね、21年ごろを目途に妻壁や足場上などへと適用範囲の拡大を進め、建物診断から修繕工事中、さらには建設工事中の施工・点検などと活用を広げていくとともに、劣化状況の分析などクラウド上に収集するデータの活用も進める。
 アウトソーシングテクノロジーでは、AI技術を活用して点検データの傾向分析や外壁劣化検出も予定。業界の生産性改革に貢献し、ニューノーマルに合致した実用的なアプリケーションを提供していく。
 今後も長谷工とアウトソーシングテクノロジーは相互の連携を強化するとともに、日本マイクロソフトのテクノロジーを活用して建物の外壁検査だけにとどまらず、位置情報を活用した検査・点検業務も含めたデジタルトランスフォーメーションを実現していく。
 (※)アウトソーシングテクノロジー=「モノ(機械電気)」×「IT」の分野において高い技術力を保持しており、労働者不足やウイルスのまん延など社会課題の解決に人とテクノロジーで貢献するというビジョンを持つ。本社は東京都千代田区。茂手木雅樹社長。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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