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発注者の「在宅7割」ー地方建設業界に懸念の声/連絡滞り円滑施工に支障  [2020年7月31日2面]

 新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、政府が企業に求める「在宅7割」が行政機関にも広がった場合、公共工事の進捗(しんちょく)に影響が出ると先行きを懸念する声が地方建設業界から上がっている。緊急事態宣言が発令された4~5月、在宅勤務している発注者の監督職員と連絡が滞ったケースがあったという。本年度分の工事発注が本格化する今後、円滑な施工を確保する上で地域と現場の実情に合った発注者の在宅勤務の在り方が問われそうだ。
 感染者数が全国的に増加している状況で、西村康稔経済再生担当相は26日にテレワーク率70%を目指すことや、時差通勤の推進、大人数の会合を控えるなどの対応を企業に求める方針を示した。
 政府要請に基づく企業行動と歩調を合わせて行政機関にも同様の取り組みが広がった場合、物品、サービス、工事などを民間から公共に提供する「官公需」の円滑な推進も課題となるのは必至。緊急事態宣言期間中の5月に群馬県建設業協会(青柳剛会長)が行った会員の動向調査でも、国交省や群馬県職員の在宅勤務が工事に与える影響として「なかなか連絡がとれない」「連絡や指示がうまく伝わらない」などの指摘が相次いでいた。現場の感染対策に伴う経費を設計変更の対象とする措置が講じられたが、変更協議に伴う現場の負担を懸念し、申し出を踏みとどまった受注者がいた。
 第1四半期(4~6月)が過ぎ、公共工事の発注や施工はこれから本番を迎える。加えて7月初旬から九州をはじめ各地を襲った豪雨被害の復旧工事も増えてくる。こうした時期に行政機関の在宅勤務の割合が高まれば「円滑な施工に支障を来す」と、先行きを危惧する業界関係者は少なくない。
 各地方整備局傘下の国道や河川などの事務所は、都市部から外れた場所にあるケースが多く、大半の職員の移動手段は自動車だ。公共交通機関を使う都市部のように時差通勤を行わなくても感染リスクが高まる「密」を回避できる環境にある。ある地方の業界トップは「『三密』になりやすい都心部は別にしても、全国一律で在宅7割を目指す必要はないのではないか」と指摘する。
 ウエアラブルカメラを使った「遠隔臨場」について国交省は、コロナ禍にも有効として採用を拡大する方針。だが全体数から見ればごく一部に過ぎない。公共工事を担う建設業界が景気を下支えする役割を果たせるよう、受発注者間が常に連絡できる状態を確保しておくことが必要であり、ある業界団体の幹部は行政機関に「状況に応じたメリハリのある勤務を求めていきたい」と注文を付ける。

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