始動-改正建設業法

このエントリーをはてなブックマークに追加 文字サイズ 

始動-改正建設業法・4/社会保険加入下請指導ガイドライン  [2020年10月6日]

 ◇技能者単位の加入どう確認
 1日施行の改正建設業法によって建設業者の社会保険加入が建設業許可・更新の要件となった。企業単位での社会保険加入の確認が厳格化された。さらに法改正で施工体制台帳に社会保険の加入状況などを記載することが必要となり、実質的に作業員名簿の作成を義務化。技能者単位での加入確認が徹底されることになった。

 国土交通省は社会保険加入について元請、下請の役割と責任を明確にする「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」を改正。作業員一人一人の社会保険の加入状況を確認するため、建設キャリアアップシステム(CCUS)の活用を原則化した。

 改正法では、これまで任意だった作業員名簿を施工体制台帳の書類の一つに位置付けた。ガイドラインは元請が新規入場者を受け入れる際、作業員名簿で各作業員の社会保険欄を確認するとしている。作業員一人一人の社会保険加入、未加入を効率的に確認する方法として、CCUSに登録された真正性の高い情報を活用。CCUSの閲覧画面などで作業員名簿を確認して加入状況を確認することを原則とする。この場合、社会保険加入の証明書類の添付が不要となる。

 ガイドラインでは、情報の真正性が厳正に担保されているCCUSの登録企業を下請として選定することを推奨している。技能者にキャリアアップカードへの登録の推奨や、建設現場にカードリーダーを積極的に導入するよう明記した。

 CCUSを使用しない場合、企業と各作業員が社会保険に加入していることを示す資料(保険料の領収済通知書や保険証など)のコピー(電子データ可)を提示させる。真正性の確保に向けた措置を徹底する。

 作業員の適切な保険加入が確認できない場合でも例外的に現場入場できる「特段の理由」の具体的なケースを明記。▽例えば伝統建築の修繕など、未加入作業員が工事の施工に必要な特殊技能を持ち、入場を認めなければ施工が困難▽社会保険への加入手続き中の作業員で今後確実に加入が見込まれる▽災害時など緊急対応時の工事で円滑な施工に著しい支障が生じる懸念がある-の三つを挙げた。

 2016年7月のガイドライン改定時に発出した通知では、60歳以上の未加入作業員の現場入場を認めている。だが年金受給の資格期間の短縮や70歳までの就業機会確保の努力義務化などを踏まえ、今回ガイドラインに明記せず、60歳以上の特例を廃止する。現場の混乱を避けるため、21年度末まで猶予期間を設ける。

 一人親方に関する取り扱いも明確化した。下請に対し、実態が雇用労働者の一人親方と早期に雇用契約を締結し、適切な社会保険に加入させることを規定。個人事業主として下請と請負契約を結び雇用保険に加入していない作業員について、元請が下請に対し、個人事業主との関係を正しく記載した再下請負通知書や請負契約書の提出を求める。一人親方を記載した適切な施工体制台帳、施工体系図を作成する。

 改正法の施行により建設工事や建設業に関するルールが大きく変わった。働き方改革、生産性向上、処遇改善を一体で進め、担い手を確保し持続可能な産業に変革できるかどうか-。今この時期に改正された建設業法。その現場運用が将来の発展を大きく左右するに違いない。
 =おわり
 (編集部・山口裕照)

この記事へコメント

メールアドレスが公開されることはありません。