BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・157/樋口一希/京都の伝統工芸品をグローバルに発信  [2020年11月5日]

個別の掲載ページ例(伊と幸の立礼台)

 BIMobject Japanは、BIMを使って我が国の優れたモノ・コトを世界に届ける新たな取り組みとして京都府が誇る伝統工芸品をBIMコンテンツプラットフォーム「BIMobject Cloud」上に掲載した。掲載品は、茶道具、漆細工、織物など空間に独特の情緒を醸し出す逸品ばかり9社12製品。

 □京都が誇る伝統工芸品を海外の住宅・ホテル・商業施設などで採用される可能性が広がる□

 BIMobject Cloudは、インテリアからエクステリアまで、空間に関連するあらゆるモノの情報とデータを配信先に適した形で発信・提供する仕組みで、約200万人の建築・内装関係者が閲覧する世界最大規模のプラットフォームだ。今回の試みによって世界244カ国に伝統工芸品の良さを知ってもらう機会となり、海外の住宅、ホテル、商業施設などでインテリアとして採用される可能性が広がる。
 高齢の職人も多く、伝統産業の市場規模が年々縮小する中、BIMobject Cloudを通じて職人やメーカー・工房・窯業の「ものづくり」へのこだわりや歴史、創意工夫、製品の精緻さ・美しさといった伝統文化の知恵や素晴らしさを世界に届け、伝統産業の発展に貢献していく。
 Microsoft Project Users Forum(※)が主催する伝統産業イノベーションプロジェクトにおいて我が国の伝統産業、伝統芸能が持つ価値を社会の新しい価値として再編し、社会実現するための仕組みづくりに携わっている。このプロジェクトでは国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界遺産である能楽・日本庭園(銀閣寺)・和食(日本茶)などの伝統技術とロボットやAIの一体化の取り組みを行ってきた。
 ※http://www.mpuf.org

 □BIMデータ・3次元データ+工芸品の画像+製品情報+販売サイト+映像へのリンク掲載□

 京都府は2017年度から京都デジタルミュージアムの構築を推進しており、デジタルをうまく取り入れながら地域の魅力を伝える取り組みに着手している。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で世界の文化に直接触れる機会が激減する中、京都府は世界に誇る伝統工芸品の魅力を最先端技術との融合によって世界に届けるべく挑戦している。
 京都府の伝統工芸品は品目・企業数・従事者数の全てにおいて全国一だ。新型コロナウイルス感染症の影響で、展示会の開催取りやめやインバウンド客の激減が続く現況下、全世界に200万人の登録会員を抱えるBIMobject Cloudにおいて製品をデジタルデータ化して世界中の空間デザイナーにダイレクトに訴求するという京都の新たな手法に注目が集まっている。
 BIMデータ、3次元データに限定せず工芸品の画像や製品情報、販売サイトや映像へのリンクも掲載している。製品概要には日本文化や京都との関連が分かる記述も加えるなど新たな顧客層に京都を知ってもらえる機会となり、伝統工芸品のステージづくりや広報・販路拡大事業とのシナジー効果も期待できる。
 掲載ページ例(図)は「伊と幸」製の立礼台で、日本各地の地方産品を海外にPRする経済産業省のプロジェクト「The wonder 500」にも選定されている。

 □メーカーは自社製品をグローバル発信+設計者はメーカーのオブジェクトデータを無料入手□

 BIMobject Japanは、建材商社である野原ホールディングスとBIMコンテンツプラットフォーム「BIMobject Cloud」を世界的規模で展開するBIMobjectAB(Malmo Sweden)が17年12月27日付で設立したBIMの国内向けサービス会社。
 メーカーにとっては自社製品をグローバルに発信する場になっており、さまざまなサイトやソリューションとも幅広く連携できるだけでなく、全てを一括管理できる高機能なデータ管理システムとしての側面も持っている。設計者にとってはメーカー監修のオブジェクトデータを無料で入手できる場となっている。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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