全建ブロック会議を振り返る

このエントリーをはてなブックマークに追加 文字サイズ 

全建ブロック会議を振り返る・下/CCUS重要性認識も環境不備/担い手確保へPR  [2020年11月5日]

 建設業の将来を支える担い手の確保・育成や技能者の処遇改善を目指し、昨年4月から建設キャリアアップシステム(CCUS)が本格運用した。しかし、当初想定していた登録者数や現場のカードタッチ数に大きな誤算が生じ、財源問題に不安を抱えることになった。解決策が示され一歩前進したものの、依然として先行きは不透明だ。

 「CCUSの意義や重要性は理解しつつも、導入に向けた環境が十分でないというのが共通認識だ」。ブロック会議の初回となる10月6日の関東甲信越地区の会合で、浅野正一山梨県建設業協会会長はそう意見を述べた。カードリーダーの設置やシステム利用料など現場の運営費用はすべて元請が負担する。木下修長野県建設業協会会長は「落札率がもう2%程度高まらないと費用が捻出できない」と切実な声を上げる。

 全建がCCUS推進に向け取り組む「モデル工事現場」33カ所を調査した結果、「メリットがある」と感じていたのは26%にとどまる。各地の会合で工事成績評価や総合評価、経営事項審査への加点といったインセンティブを求める意見が相次いだ。蔦田守弘大阪建設業協会会長は「具体的なメリットを見える形にした上で、技能者にとって分かりやすい詳細工程や実施手順を示す必要がある」と訴えた。

 国土交通省も目に見えるメリットの必要性を認識している。野口知希CCUS推進室長は「元請、下請、技能者それぞれの立場に応じたメリットが分かりやすく伝えられるような資料やツールを工夫していきたい」との方針を示した。

 担い手を確保する上で立ちはだかるのが年収の問題だ。中村力男鳥取県建設業協会専務理事は、鳥取県内の施工管理技士の平均年収は約440万円で、他業種に比べ100万円低いのを例に挙げて「仕事の重要性や労働環境を考慮するとあまりにも低すぎる」と嘆いた。

 国交省は公共工事の設計労務単価を2012年から8年連続で引き上げた。鎌原宜文不動産・建設経済局建設業課長は「労務単価の引き上げが技能者の賃金水準上昇という好循環につながるよう、適切な請負代金で契約し技能者の賃金水準の確保に努めてほしい」と各地で協力を呼び掛けた。

 新型コロナウイルスの影響が各産業に及ぶ中、建設業は感染防止対策を徹底しながら現場を稼働させてきた。特に地方は公共事業への依存度が高く、建設業が経済を下支えする役割を担う。「安定した業種」(國藤浩史高知県建設業協会副会長)として、建設業を志す学生の地元志向が強まっている地域も出てきた。担い手を業界に呼び込むためにも、全建の山崎篤男専務理事は「積極的なPR活動が重要だ」と指摘する。

 全9地区の会合を通じ地域建設業が直面する諸課題について、参加者で問題意識を共有した。全建は12月中旬に国交省幹部と総括の意見交換会を予定。今回の成果が官民の取り組みに反映されるか議論の行方に注目する必要がありそうだ。

 (編集部・田村彰浩)

この記事へコメント

メールアドレスが公開されることはありません。