BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・158/樋口一希/大林組が次世代型生産設計図を実用化  [2020年11月12日]

タグによる情報表示のイメージ

 大林組はBIMモデルの保有する情報を生産設計図(施工用図面)として直接視覚化させた「次世代型生産設計図」を実用化した。大林組ではBIMモデルを業務基盤として一貫利用することを会社方針としており、建築物の計画から設計、施工、維持管理までの各段階に応じてBIMを用いた管理を行っている。生産部門におけるデジタルトランスフォーメーション(※)の一環として2020年度に着工した工事は既に次世代型生産設計図を用いた施工を開始している。

 □BIMモデルの情報を更新するだけで施工用図面として抽出・表示・伝達できる手法を確立□

 建築工事では従来、意匠図・構造図・設備図を統合した2次元の施工用図面を作成し施工していたが、高さ方向で部材の位置がかぶっている場合など不整合が見分けにくいという課題があった。一方でBIMモデルは施工に必要な情報が収納され、3次元で表現されるため、不整合の有無の確認などに向いているものの、2次元の施工用図面として利用するためには煩雑な作業が必要となり適してはいなかった。
 そのため変更のたびに施工用図面とBIMモデルの両方を更新しなければならず、担当者の負荷が高くBIMの一貫利用を阻害する大きな要因となっていた。
 それらの課題を解決するために、BIMモデルの必要な情報を更新するだけで施工用図面として抽出・表示・伝達できる手法を確立し、次世代型生産設計図として運用を開始した。
 それによってBIMモデルの情報は施工用図面に直接反映されるため、施工用図面の修正作業がなくなった。加えてBIMモデルには設計情報と生産情報を集約しているため、監理者や施工者、協力会社といった利用者ごとに必要な生産情報を直接視覚化(図面化)して伝達できる。次世代型生産設計図を利用することで「BIMモデルを主体とした」一貫性のある実務運用が可能となった。

 □次世代型生産設計図ではBIMモデル情報を直接表示でき、紙の図面という制約から脱却可能□

 次世代型生産設計図は、BIMモデル情報を直接表示することができるのに加えて、必要な情報を整理し、利用する人に適した様式に構成して提供可能なので、紙の図面という制約から脱却できる優位性をもっている。
 具体的には、建築構成部材や個々に必要とされる生産情報はあらかじめBIMモデルに盛り込んだ上で、施工用図面として部材の外形情報や部材間の位置関係に関する情報などBIMモデルから直接引用し表示する。BIMソフトのタグ表示機能により、仕様に関する情報も選択し表示可能だ。
 設計情報と付加すべき生産情報を標準化したことに加え、施工の段階や工種ごとに必要な情報を分析・分解し、目的別に分類整理している。これらの分類に基づき、監理者や施工者、協力会社など工事関係者ごとに必要とする情報をBIMモデルから選別し、利用者に適した様式で提供する。
 次世代型生産設計図は、BIMモデルの生産情報をタブレットに表示できるので、1フロア全体を1枚の全体図として管理している。アイソメトリック図などを用いて視覚的に分かりやすく立体で表現し、施工のイメージがしやすくなった。従来のA1サイズなどの紙に印刷することを前提とした縮尺分割図の様式や表現形式にしばられないことも次世代型の特長となっている。
 ※デジタルトランスフォーメーション(DX=Digital Transformation)=企業・組織がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに業務そのものや組織、プロセス、企業文化・風土を変革すること。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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