検証-国土強靱化政策

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検証-国土強靱化政策・上/3か年緊急対策後の予算の行方は/現行事業執行は順調  [2020年11月17日]

 2020年度で終了する「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(18~20年度)後の予算措置の行方が注目されている。大規模災害の多発や既設インフラの老朽化などもあり、21年度以降の対策継続や対象拡大を求める声は多い。公共投資に抑制的な立場からは、現行対策の事業執行の遅れを懸念する声もある。社会資本整備をどう推進していくのか-。年末の2021年度予算案決定に向け社会資本整備を巡る綱引きは熾烈(しれつ)になりそうだ。

 3か年緊急対策では防災や経済・生活を支える重要インフラなどの機能維持に向け、緊急に取り組むべきハード・ソフト施策を整理した。事業規模は約7兆円(うち国土交通省関係分は3・6兆円)。河川の河道掘削やため池の改修による決壊防止対策といった事前防災の取り組みを展開してきた。

 ここ数年、急激に進む気候変動の影響による大規模災害の多発や既設インフラの老朽化への対応が急務となっている。ただ、財務省は「社会資本が概成しつつある」との認識を崩さない。10月の財政制度等審議会(財政審、財務相の諮問機関)財政制度分科会歳出改革部会では、社会資本整備への新規投資や老朽化に伴う維持更新コストの増加を避ける必要があると主張した。

 3か年緊急対策の事業が契約率の割に予算支出率が低いことなどを理由に、事業執行の遅れを指摘する声も挙がっている。これが3か年緊急対策の延長に対する慎重論の根拠にもなっている。

 しかし、国交省は工事契約の性質上、工事の進展に応じて段階的に支払いが行われるため、契約から予算の支出までに一定の期間が発生するのは当然と説明する。契約後に受注企業が人員の確保や資材調達を行い工事に入るため、公共工事の執行状況は契約率で確認することが適当とも強調した。

 国交省によると20年度の公共事業の予算現額(前年度からの繰り越し額と当初予算額などの合計)は、近年で最大規模の約12・1兆円。契約率(8月時点)は65・6%でほぼ平年並みだった。

 3か年緊急対策だけみると、20年度第1四半期(4~6月)の契約率は20%。前年同期は17%で第2四半期(19年7~9月)までに43%、第3四半期(同10~12月)までで61%、年度全体で92%と下半期にかけて契約率が上昇していった。このため国交省は20年度も前年度同様、順調に契約率が上がると見ている。

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