検証-国土強靱化政策

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検証-国土強靱化政策・下/与党幹部は5年15兆円描く/21年度以降見据え要望活動  [2020年11月19日]

 2021年度の予算編成が本格化するのを前に「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」(2018~20年度)後を見据えた国会議員や首長、業界団体らの要望活動が熱を帯びている。自民・公明両党の幹部は「5年15兆円」の事業スケールを描く。国土交通省も21年度以降の中長期的な対策の必要性を訴えるため、事前防災対策によるストック効果のアピールに力を入れる。

 自民党の国土強靱化推進本部(本部長・二階俊博幹事長)は3か年緊急対策後、21年度からの5か年計画を閣議決定するよう政府に求める緊急決議を10日に取りまとめた。5か年計画を踏まえ、当初予算規模を大幅に拡充し別枠で計上することも盛り込んだ。建設業関係の議員連盟や関係団体も「5か年計画の閣議決定」を異口同音に訴えている。地方自治体も攻勢を強め、全国知事会(会長・飯泉嘉門徳島県知事)ら6団体が対策の継続と拡大を政府に要望。全国の都道府県議会でも同様の趣旨の意見書を採択する動きが活発になっている。

 関係者の熱い思いを追い風にすべく、国交省は3か年緊急対策の実施効果や順調な事業執行状況などを広くアピールしている。3か年緊急対策を含め事前防災の効果を紹介する「いのちとくらしを守る防災・減災、国土強靱化 3か年緊急対策・令和新時代を支える事前防災効果事例集」をまとめた。地域経済への貢献もデータに基づき解説している。

 公共投資で発現するのは整備した施設による物理的な効果だけではない。公共投資は建設投資のうち約4割を占める上、地方の建設会社は公共投資への依存度が高い。地域建設業が災害時の応急復旧などで「地域の守り手」として活躍し続けるためにも、公共事業量の安定的・継続的な確保は不可欠となる。

 3か年緊急対策の初年度(18年度)は年度途中にスタートしたため補正予算で手当てしたが、19、20年度は当初予算に強靱化対策を含む「臨時・特別の措置」として7000億~8000億円台を計上した。事業も順調に執行されている。

 20年度第3次補正予算編成の柱の一つに国土強靱化対策が位置付けられたものの「補正でお茶を濁され、21年度当初予算で国土強靱化対策への支出が少ないということになると困る」(政府関係者)と危惧する声もある。

 国土強靱化対策の21年度以降の事業規模を巡り、「5年12兆円」とする方向で政府・与党が調整に入ったとの一部報道もあるが、ある国会議員は「5年15兆円の旗は降ろしていない」と強調する。防災・減災対策や国土強靱化対策の事業費を当初予算で確実に措置することが強く求められている。
 (編集部・沖田茉央)

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