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熊本県・蒲島郁夫知事/球磨川流域治水で「流水型ダム」要望表明/川辺川計画は廃止を  [2020年11月20日1面]

ダム建設も選択肢に治水対策の方向性を示した蒲島知事=19日、熊本県庁で

川辺川ダム建設予定地。仮排水路トンネルなどは完成している

 熊本県の蒲島郁夫知事は19日、2020年7月豪雨で被災した球磨川流域の治水対策の方向性として「(治水専用の)新たな流水型ダムを国に求める」と県議会全員協議会で表明した。建設中止となっている川辺川ダムの現行計画の「完全な廃止」も国に要望。その上で環境に配慮した流水型ダムと河川整備、遊水地の活用などを総合的に組み合わせた「緑の流域治水」を目指す考えだ。
 球磨川の治水対策を巡っては、国が支川の川辺川に貯留型の多目的ダムとして川辺川ダムの建設を計画していたが、地元首長らの反対を受け08年に蒲島知事が白紙撤回を表明。旧民主党政権が09年にダム本体工事に着手しないとした。その後、ダムに頼らない治水対策を検討していたが結論が出ず、観測史上最高の水位を記録した20年7月豪雨が発生した。
 蒲島知事は10月中旬から約1カ月かけて行った地域住民らの意見聴取を踏まえ「現在の民意は命と環境の両立だと受け止めた」と話した。流水型ダムに関しては有識者の意見を聞き「被害防止の確実性を担保できるダムは選択肢から外せない」と判断した。
 流水型ダムの建設に当たっては「球磨川の環境に極限まで配慮し清流を守る必要がある」とした。法に基づく環境影響評価(アセスメント)か同等の調査実施を国に要望。併せて住民らと「事業の方向性や進捗(しんちょく)を確認する仕組みを構築する」考えだ。
 今回の決断により「(ダムの建設推進と反対の)対立の歴史に決着をつけたい」とも述べた。治水対策の方向性を示すことが交通インフラの復旧や住まいの再建を早期に進めることにつながると期待。不退転の決意で緑の流域治水に取り組み「日本の災害復興をリードする新たな全国モデル、『球磨川モデル』として球磨川流域の創造的復興を成し遂げる」と力を込めた。
 蒲島知事は20日に赤羽一嘉国土交通相と会談し治水対策の方向性を伝える。県は治水対策の方向性を踏まえ、7月豪雨の復旧・復興プランを近く公表する。年度内の早期に緊急治水対策プロジェクトを策定しハード対策にも着手する。全員協議会の閉会後に会見した蒲島知事は「(温暖化により)地球が変わり社会が変わり当然民意も変わる」と話した。流水型ダムについては「川辺川ダムの容認」ではなく、あくまで「新たな洪水調整機能」とした。
 国交省時代、川辺川ダムを前提に河川整備基本方針の策定に携わった自民党の足立敏之参院議員は「ダムという手法も選択肢に入れた治水対策の方向にかじを切ったことを歓迎したい。できる限り早く完成するよう総力を挙げて取り組んでほしい」とコメントした。

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