論説・コラム
回転窓/おカバさま [2020年11月25日1面]
40年前に書かれた星新一の短編小説に『おカバさま』というのがある。バカではなくカバに「お」と「さま」を付けた題名が印象的。十数年前に読んだが忘れられない▼あらすじはこう。コンピューターが決め事を判断する時代に「カバをおカバさまと呼び、大切にしろ」という指示が出る。人間はそれに従い、カバに食料を与えたり道を譲ったりと大切に扱う▼数年たつとカバは大繁殖するが、カバ中心の生活に疑問を持つ人間も現れる。そこに家畜の感染症が発生し、コンピューターは「感染症にかからないカバを食べろ」と。それで人間はカバを食べて生き延び、その後コンピューターの言いなりになる▼ディープラーニング(深層学習)技術で人工知能(AI)が飛躍的に進歩している。海外ではAIが書いたことを明かさずに投稿されたブログ記事がニュースサイトで1位になったという。いまやAIの方が人間よりもうまく、説得力のある記事が書けるということか▼2045年にAIが人類に代わって文明の進歩の主役になる「シンギュラリティ」が到来すると言われる。おカバさまが現実にならないよう祈りたい。
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コメント
星新一は昭和の初めには今を予想していた。7、8割既に叶っているそうだ。筒井康孝はヒステリックな禁煙者迫害を書いている。昔の作家はどこか笑える要素が散りばめられていたものだ。