BIMのその先を目指して

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BIMのその先を目指して・159/樋口一希/東急建設が目指す「みんなでVR」  [2020年11月26日]

東急建設の3次元モデルを基に構築したVR空間

 東急建設は、東京メトロ銀座線渋谷駅線路切替工事での施工管理業務にVR(仮想現実)の技術を活用、これから建設する構造物をVR空間で関係者が共有し、施工上の情報共有・合意形成を迅速に行うことで、業務効率化による生産性向上を目指す実証実験を行う。

 □複数の関係者がオンラインでVR空間に集結し議論できるバーチャルワークプレイス構築□

 建設工事においては発注者・設計者・施工者・協力会社など所属会社や部署の異なる多くの関係者がコミュニケーションを取りながら意思決定を行う場面が頻繁に発生する。その際、関係者全員がさまざまな資料を共有しながら、建設プロセスや完成形のイメージを一致させることが求められ、合意形成までに時間を要するとの課題があった。それらの課題を解決するために東急建設とリコーは、リコーが提供するソリューションで、東急建設が使用している3次元データをそのまま活用し、設計者や施工管理の担当者、さまざまな分野の専門技術者など複数の関係者がオンラインで集結し議論することができるバーチャルワークプレイスを構築する。
 VRの技術を用いることによって、これから建設する対象建物の3次元モデルの中にあたかも実際に入る感覚で、あらゆる角度から複数の関係者で同時に確認可能となり、品質や安全性の確保に貢献する。従来までは2次元図面を主体として議論してきた建設業において、現実に近い3次元のバーチャルワークプレイスへ議論の場を移し、建設生産プロセスにおけるイノベーションの効果を検証していく。

 □合意形成をより迅速化する「ひとりでVR」から「みんなでVR」の構想の実現を目指す□

 東急建設は、これまで「Shinka×ICT(シンカ・バイ・アイシーティー)」を掲げてICTの積極活用による新たな価値の提供と業務プロセスの革新に取り組んできた。その一環として建設業界で活用が進むBIM/CIMにも積極的に取り組み、3次元モデルによる確実な情報共有や合意形成の迅速化に効果を上げている。合わせてBIM/CIMの3次元データを汎用(はんよう)的なVR機材・ソフトに導入することによって、複雑な構造物を直観的に理解し、没入感をもった施工計画・検討が可能なVRの効果も実感していた。
 一方で現状の汎用的なVR機材・ソフトでは単独でしかVR空間に入り込むことができないため、複数人での合意形成をより迅速化する「ひとりでVR」から「みんなでVR」を実現したいという構想があった。さらに新型コロナウイルス感染症対策を契機として建設業の合意形成の場においても、非接触・リモート型の働き方への転換が求められている。

 □物理的に離れた場所にいる人と自然で自由なコミュニケーションを行う新しい働き方提案□

 リコーが開発し、東急建設が検証する「リコーバーチャルワークプレイス」は、顧客の任意の空間をVR上で再現し、各自がVRゴーグルを使ってその空間内に一堂に会することが可能なソリューションだ。高いインタラクション(相互作用)性や発想の広がりを相互に共有できるスクリーンシェア、音声入力機能などが特徴で、付箋を貼ったりしながらアイデアを出すブレーンストーミングのミーティングなどにも活用できる。バーチャルなワークプレイス上で、物理的に離れた場所にいる人とも自然で自由なコミュニケーションを行う新しい働き方を提案している。
 「リコーバーチャルワークプレイス」はリコーが新規事業の創出に向けた取り組みとして、スタートアップ企業や社内外の起業家の成長を支援して事業共創を目指すプログラム「RICOH ACCELERATOR(現TRIBUS)2019」の社内起業家チームから生まれたソリューションだ。  21年度中の事業化を目指してソリューション開発やプロトタイプをユーザーに提供している。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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