論説・コラム

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回転窓/遠きふるさと  [2021年2月12日1面]

 ふるさとは 遠きにありて 思ふもの-。詩人・小説家として知られる室生犀星の詩「小景異情」の書き出しの一節であり、印象に残る詩句を見聞きした方も多かろう▼その詩意を読み解くと、ふるさとは遠く離れて思い出し、どんなに落ちぶれても帰るべきところではないという。望郷の念を抱きつつ、ふるさとから遠く離れた都会にまた帰っていこうとする哀愁漂う心情が表現されている▼ふるさとへの思いは、人それぞれ異なるだろう。離れがたく何度も帰郷する人もいれば、二度と戻らず異郷で暮らす人もいる。自分の意志とは関係なく、災害などで仕方なく生まれ育った地を離れる人も▼1カ月後、東日本大震災から11年目に入る。地震と津波によって甚大な被害を受けた被災地では、復旧・復興が着実に進む一方、原発事故などの影響でふるさとに戻りたくても戻れない人たちがいる▼主なインフラ関連事業は収束しつつも、被災地での暮らしや産業への継続的なサポートは欠かせない。人々が再び集い、暮らし続ける移住・定住に向けた施策も課題の一つ。10年の節目は通過点であり、復興の取り組みはこれからも続く。

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