人事・動静

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凜/東京都葛飾区都市整備部都市計画課鉄道立体担当係・阿部渚さん  [2021年2月15日12面]

阿部渚さん

 ◇将来は仕事のノウハウ伝えたい
 千葉県の大学に通っていた時に遭遇した出来事が、街づくりの仕事を志すきっかけになった。所属していたサッカー部の練習中に東日本大震災が発生。コーチの車で帰宅する途中に製油所で爆発事故が起こり、立ち上る黒煙を目の当たりにした。「場所が違ったら死んでいたかもしれない」。安心できる街をつくりたいと決意した。
 区役所で働き始めた年、一度は被災地を見ておきたいと考え、宮城県南三陸町を訪れた。目の前に広がるのは震災から時が過ぎてもがれきが残る海岸線。「私はただの観光客。この地域のために何もできていない」。切ない思いがこみ上げた。くすぶる気持ちを抱え続け数年がたったある日、南三陸町の応援職員を募るお知らせを目にした。今しかない…。迷いはなかった。
 赴任して衝撃を受けたのは、中堅職員の多くが震災で亡くなり、仕事で積み上げてきたノウハウも失われてしまったことだった。業務に追われる日々。新人に仕事を教える余裕はなく若手が次々と職場を去っていった。「ここで職員になっていたら、私も同じ選択をしただろう」と振り返る。
 派遣期間を終えて区に戻ったとき、一から仕事を教えてくれる職場の温かさが身に染みた。今の部署で自分は最年少だが、将来は先輩が教えてくれたノウハウを後輩にしっかり伝えられるように、真摯(しんし)に仕事と向き合っている。(あべ・なぎさ)

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