デジタルで建設をDXする

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デジタルで建設をDXする・5/樋口一希/リモートでのプレハブ住宅の建築技術指導  [2021年2月18日]

試作棟外観

 パナソニックホームズは、ニュージーランド・ワイカト地方で現地建設会社のマイクグリアコマーシャル社(Mike Greer Commercial Ltd=MGC社)と協働して、プレハブ住宅部材を用いた試作棟の上棟工事(外壁、柱、梁、屋根の取り付けを行うシェルター工事)を2020年9月29日から10月1日にかけて実施、その結果を公開した。

 □プレハブ住宅の短工期+地震に強い大型パネル構造や工場生産による品質の高さを評価□

 パナソニックホームズは19年3月に、ニュージーランドでの10万戸規模の住宅供給不足の解消に向け発足した政府系プロジェクト事業で採択を受けた。日本と並ぶ地震大国であるニュージーランドの住宅不足問題の解決に向けてプレハブ住宅の短工期、地震に強い大型パネル構造や工場生産による品質の高さが評価されたもの。試作棟には国内向け大型パネル構造(F構法)の住宅部材を採用、工場であらかじめサッシなどを組み込んだ外壁パネルと屋根、床パネルを組み立てることによって、現場作業を最小限に抑制した。施工品質の安定化をはじめニュージーランドの一般的な住宅建築(在来工法)と比較して最大で約4カ月の工期短縮が見込めた。上棟した平屋住宅の試作棟は内装工事・最終検査を経て完成へと結実している。
 プレハブ住宅の海外展開を通じてニュージーランドの建設担当者へのスキルトランスファ-(技術伝承)にも期待できる。今後、ニュージーランドの住宅市場への部材供給を目指し、住宅の仕様や施工法などの検証を進めていく。

 □ニュージーランド政府による入国規制の下でリモートによる建築技術指導へと方針を転換□

 上棟工事に際してはコロナ禍におけるニュージーランド政府の入国規制の下、技術者が日本からリモートでMGC社の建設担当者へ建築技術指導を行い、推進した。20年7月に湖東工場(滋賀県)から出荷した住宅部材は、名古屋から船便で約1カ月後の8月末にニュージーランドへ到着した。試作棟の建築では、当初、自社社員による現地での技術指導を予定していたが、ニュージーランド政府による入国規制の下、リモートでの建築技術指導へ方針を転換した。
 日本から現地への通信では映像だけでなく、資料共有や画面上に直接文字などを描けるスマートフォン用リモートガイダンスアプリ「XMReality」(XMRealityAB社製)を採用した。リモートでの試作棟の上棟工事は3日間にわたり実施、工事は現地担当者と日本の技術指導者をそれぞれ準備、工事、検査・修正の3グループに分け、各工程別にアプリを通じて建設現場の様子をリアルに画面共有しながら推進した。
 MGC社においてもパナソニックホームズの住宅部材での建築は初めての取り組みであったが、計画通りに上棟工事は完了、10月には取り組みに賛同したニュージーランド政府発行の特別入国ビザで社員が現地入りし、中間検査で施工品質に問題がないことを確認した。

 □大型パネル構造:パネルを強靱なボルトとジョイント金具で一体化したモノコック構造□

 パナソニックホームズ独自の大型パネル構造(F構法)は、一戸建て住宅や賃貸住宅向けの構法で、外壁や床、屋根などのパネルを強靱なボルトとジョイント金具で一体化させた強固なブロック体だ。構造体全体で荷重をしっかり受け止める「モノコック構造」となっている。
 地震や台風などの外力を面全体で受け止め、建物全体にバランスよく分散し、優れた耐震性を発揮する。90センチメートルモジュール設計で、あらかじめ工場でサッシや換気口まで組み込まれた外壁などの大型部材を建築現場に搬入、クレーンなどで正確・迅速に組み立てることで建築現場での省力化を実現する。
 ◇リモートでの上棟工事に関する紹介動画を公開(上棟工事の様子をまとめた動画コンテンツ)
 https://youtu.be/DsQYl8hf4wM
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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