デジタルで建設をDXする

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デジタルで建設をDXする・7/樋口一希/清水建設が3Dプリンティング型枠を初適用  [2021年3月4日]

3Dプリンティング型枠の製作状況

 清水建設は、高強度・高靱性の繊維補強モルタル「ラクツム(LACTM)」を用いて積層造形した3Dプリンティング型枠を実現場に初適用した。

 □円状の基部から頂部へとねじれながら花びら状に形を変える特殊デザインの埋設型枠を製作□

 3Dプリンティング型枠の現場適用では、ラクツムと技術研究所の専用実験施設「コンクリートDXラボ」に配備した材料押し出し方式の3Dプリンティング装置を利用し、円状の基部から頂部に向かってねじれながら花びら状に形を変えていく特殊なデザインが採用された大型柱の埋設型枠を製作した。
 高さ4・2メートル、直径2・2~2・7メートルという巨大な柱であったため、柱1体分の埋設型枠を水平方向に3分割、垂直方向に2分割して積層造形した。製作完了後、埋設型枠を現場に搬入し、所定の位置に組み立てた後、コンクリートを打ち込み、特殊形状の4本の柱を完成させている。
 適用現場は自社開発事業として建設中の「(仮称)豊洲六丁目4-2・3街区プロジェクト」。敷地内に整備する交通広場の上部を覆う大規模デッキのコンクリート柱4本の埋設型枠を3Dプリンティング施工した結果、従来工法では困難だった自由曲面形状を有する高さ4・2メートルの柱部材を短期間で構築することができた。

 □構築物の3次元CADデータさえあれば任意の曲面形状を自在かつスピーディーに造形可能□

 建設業界では慢性的な人手不足が顕著となっており、特にRC造の施工においては省力化・省人化が喫緊の課題となっている。その際に鍵となるのが部材のプレキャスト化であり、3Dプリンティングで造形した埋設型枠の活用はプレキャスト化の概念を現場施工に採り入れた新たなソリューションといえるものだ。3Dプリンティングでは構築物の3次元CADデータさえあれば任意の曲面形状を自在かつスピーディーに造形できるため、設計の自由度も飛躍的に向上することが期待できる。

 □型枠のような薄い部材を造形する場合でも形状を保持したまま2メートル以上の高さまで積層可能□

 3Dプリンティング材料として独自開発したラクツムは、通常のモルタルに用いるセメントと砂に長さ6ミリの合成短繊維、高性能減水剤、シリカフュームを付加した繊維補強モルタルで、型枠のような薄い部材を造形する場合でも形状を保持したまま2メートル以上の高さまで積層できる。加えてラクツムの積層造形物は耐久性にも優れ、積層面が目視で確認できないほど一体化し、劣化の原因となる水や空気の侵入を助長する気泡や空隙は内部にほとんど生じない。
 今後、ラクツムで積層造形した埋設型枠の現場適用を推進していくとともに、施工現場で実大型枠を直接プリントするオンサイト3Dプリンティングを実現するための研究開発を進めていく。

 □高さ2メートルの任意の形の柱型枠を約2時間で積層できることをコンクリートDXラボで検証□

 3Dプリンティング技術はコンピューターでプリント経路を自動生成すれば「ラクツム」を任意の形で造形でき、高さ2メートルの柱型枠を約2時間で積層できることを検証した。硬化後は各プリント層が一体化するため品質のばらつきがなく、従来のコンクリートにはない粘り強さ(高靱性)を発揮する。この技術を用いて複雑形状の造形に挑戦した。3D-CADからロボット制御プログラムを即座に生成できるため、形状決定から実施工まで短時間で進む。この方法を用いたことで従来は困難であった自由曲面の施工に成功した。
 翌日には型枠として十分な強度となるため施工現場に搬入できる。内部にコンクリートを打ち込むことで従来の型枠なしでデザイン性の高い柱をスピーディーに構築できた。積層体の形状は3Dスキャンで点群データとして取得。点群データと3D-CADとの比較では高精度で施工できることを確認している。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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