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土木学会/熊本地震の応急対応調査結果公表/自治体と業者の協定有効も改善の必要指摘  [2021年4月30日2面]

 土木学会(家田仁会長)は、2016年の熊本地震の応急対応に関する調査結果をまとめた。自治体と建設業者が交わしている災害時協定について、自治体職員の67%が「非常に役に立った」と高く評価した。一方、初動対応では自治体職員と連絡が取れないまま建設業者が自主判断で対策を実施した事例や待機状態になった事例があることが分かった。気象庁の発表する震度を基準に自動出動するといった連絡が取れない場合の仕組み作りが必要だと提言している。
 地震による直接死者が3人以上の熊本市や益城町など1市2町2村とその地域を営業範囲とする建設業、管工事業を対象に調査した。国土交通省九州地方整備局、日本建設業連合会九州支部、熊本県建設業協会らが協力した。18年9月~20年2月にヒアリング、アンケートを同2~6月に行った。
 災害直後に自主判断で出動し事故に遭ったり、事故を起こしたりする可能性がある。熊本県内で対応した補償制度を設けている自治体はなかった。災害対応で通常工事と同じレベルで安全性を担保するのは難しい。熊本地震の応急復旧作業中に半数がヒヤリハットを体験したと回答した。作業中の事故には自衛隊や消防署員に適用される「公務災害補償制度」に準じた補償の適用を求める声が多く寄せられた。
 自治体によっては道路などの施設について、日常の維持管理契約を結んでいる建設業者に初動対応を依頼する場合があった。その後、災害時の協力協定を結んでいる建設業者の団体に支援要請したところもあった。要請が交錯し混乱を招いたことから、維持管理契約と災害時協力協定のすみ分けを事前協議し、認識を共有する必要があることが分かった。
 食料などの支援物資を復旧作業の現場に配給することを望む声や材料や燃料、重機のオペレーター、交通誘導員などの補給体制の強化を促す意見も多かった。
 熊本県建設業協会は県内11カ所の地域振興局に対応し11支部で活動している。同一支部内では日常の営業範囲が異なる事業者間でも復旧作業の支援は円滑に行われていた。一方、支部間では活発な応援はなく、厳しい状況に置かれた支部を他の支部が応援する体制を検討すべきだと指摘している。

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