デジタルで建設をDXする

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デジタルで建設をDXする・14/樋口一希/BIMデータ上で建築確認の事前協議実施  [2021年5月6日]

新システムによる建築確認申請のフロー

 清水建設と指定確認検査機関の日本建築センター(BCJ)は、総合病院の実案件の建築確認で、業界で初めてBIMデータと法適合判定プログラム等を活用した事前協議を実施し、本申請を経てBCJからの確認済証交付を実現させた。

 □新システムによる建築確認の第1号案件は清水建設が設計・施工を受注した三愛会総合病院□

 事前協議は、昨年、清水建設がBCJの協力を得て構築した「BIMデータによる建築確認システム」(新システム)に基づくものだ。現行では、法により建築主事による確認申請図書(図書と書類)の確認が義務付けられているため申請図書による事前協議も実施している。
 新システムによる建築確認の第1号案件は、清水建設が設計・施工を受注した三愛会総合病院(埼玉県三郷市)で、建物規模は地上7階建て延べ床面積約1万7200平方メートル、構造は鉄骨造(一部CFT造)、工期は3月~2022年9月中旬となっている。20年2月に設計に着手後、同10月から新システムによる建築確認に取り組んでいた。

 □法適合を確認したBIMデータから確認申請図書(PDF)を作成して建築確認の電子申請を実施□

 新システムの初適用に向け、建築確認の審査手順、審査に必要なデータや表現等について改めてBCJと協議した。協議結果に基づき病院建築の法適合判定に必要なプログラム13ツールと審査に必要な情報を表示するビューテンプレート(ビューワー)32種を整備、それらの有効性についてBCJの確認を得ている。BIMデータの構造計算(※1)や面積算定(※2)に用いる市販ソフトについても、ベンダーの協力を得て事前協議に必要な機能を付加した。
 BIMデータによる事前協議に際しては、すでにBCJによる確認を得ている建築基準法関連情報を持つファミリ(パーツ=部材の形状情報と属性情報)により清水建設がBIMデータを作成し、クラウドを介してBCJと共有した。合わせて、法適合判定プログラム並びに機能を付加した市販ソフト等を事前協議に活用し、BIMデータ上で事前協議を実施した。
 三愛会総合病院は、構造計算適合性判定の対象になることから指定構造計算適合性判定機関の東京建築検査機構(TBTC)に構造計算適合性判定を申請した。TBTCについてもクラウドを介してBIMデータを共有し、必要な機能が付加された構造計算ソフト(※1)等を用いて事前協議を実施した。
 これらの事前協議を経て、法適合を確認したBIMデータから清水建設が確認申請図書(PDF)を作成し、建築確認を電子申請し、その後、BCJが確認済証の発行に必要な手続きを実施した。

 □BIMモデルと法適合を判定するプログラム等を活用し事前協議を支援する新システム構築□

 BIMデータによる建築確認システムを開発した背景としては、BIMの普及に伴い、BIMデータを使用した建築確認申請の事例は報告されているが、BIMの3次元形状による建物空間の把握とBIMから出力した図面による審査にとどまっており、BIMのデータとプログラムを活用した事例はないことが挙げられる。
 そのような現状や国土交通省が主催する建築BIM推進会議の動向を踏まえ、昨年、BCJの協力を得て、建築基準法関連情報を持つファミリ(パーツ)で作成したBIMモデルと法適合を判定するプログラム等を活用し、建築確認の事前協議を支援する新システムを構築した。
 (※1)BUS-6 +Revit Op.(構造システム)=一貫構造計算ソフト「BUS-6」とBIMモデル(Revit)の間でデータの共有を可能にするオプションプログラム「+Revit Op.」で構成、双方向連動するため構造計算モデルとBIMモデルの整合が担保される。
 (※2)求積ツールfor Revit(生活産業研究所)=Revitのアドオンシステムで入力済みの3次元建物モデルから面積計算を効率的に行うツール。21年秋ごろ発売予定。
 〈アーキネットジャパン事務局〉(毎週木曜日掲載)

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