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消費税のインボイス制度-中小事業者への影響懸念/国交省、建設業界の動向調査  [2021年5月20日1面]

 2023年10月からの導入が決まっている消費税の仕入税額控除の新方式「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」に関し、国土交通省が建設業界へのアンケートを始めた。課税売上高が年1000万円以下で、納税義務が原則免除される「免税事業者」が、新方式の導入で不利益を被る懸念が出ていることが背景にある。国交省は調査を通じ新方式の周知に努めるとともに、今後の施策展開の参考となる意見を収集する考えだ。
 国交省は4月下旬に▽日本建設業連合会▽全国建設業協会▽全国中小建設業協会▽建設産業専門団体連合会▽全国建設労働組合総連合▽住宅生産団体連合会-の6団体に協力を依頼。会員企業らに調査票を送付した。下請事業者との取り引き実態や、新方式導入に際しての準備や対応の考えなどを聞く。6月18日まで回答を求めている。
 消費税は買い手に代わって売り手が申告・納付するが、実際は売り手も仕入れや外注の際に消費税分を負担しているため、その差額を穴埋めする「仕入税額控除」の仕組みがある。軽減税率に対応するため導入する新方式では、適用税率や消費税額を記載した「適格請求書(インボイス)」を採用。仕入れ・外注先から交付を受けたインボイスの保存を仕入税額控除の要件とする。
 売り手がインボイスを交付するには発行事業者としての登録が必要。ただ登録は課税事業者に限られる。売り手が免税事業者の場合、買い手はインボイスを受け取れず、仕入税額控除を行えない。免税事業者から見れば、仕入れ・外注先として選ばれないリスクが生じる。免税事業者から課税事業者への転換も可能だが、その場合は税負担が新たに強いられる。
 建設業界では中小事業者や一人親方に免税事業者が多く含まれる。新方式導入の動向を注視する業界関係者は多く、「免税事業者は値引きの強要や課税事業者への転換を求められ、大幅な収入減となる懸念がある」という声も漏れる。新方式の認知や理解が進んでいない現状を考慮し、「導入時期の延期などの議論があってもいいのでは」との意見も出ている。
 インボイス発行事業者の登録申請開始が10月に迫る中、国は新方式の周知を急いでいる。財務省と国税庁が建設業界向けに説明会を開く予定で、各団体に開催案内を出した。
 国会でも新方式導入を巡って意見が交わされている。4月20日の衆院財務金融委員会では、建設業界での影響を懸念する議員の質問に対し美濃芳郎大臣官房審議官(不動産・建設経済局担当)が「インボイス制度の円滑な導入に向け、制度内容や相談窓口の十分な周知が図られるよう、引き続き財務省、国税庁と連携していく」と答弁した。

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