論説・コラム

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回転窓/文化財の事前防災  [2021年6月9日1面]

 2016年の熊本地震で被災した阿蘇神社。倒壊した重要文化財の楼門から建立に携わった棟梁(とうりょう)や職人の名前、出身地などの墨書が見つかった▼墨書は震災前から知られていたが、部材の裏側に書かれていたため詳細は不明だった。それが皮肉にも地震で倒壊したため、墨書の全容が明らかになり、木材の原産地や資金集めが難航し工期が遅れたことなどが分かった▼国内には歴史的な文化財がたくさんある。だが楼門のように自然災害で被害を受ける文化財がここ数年急増しているという。文部科学省の調査によると、過去5年で被災した建造物や美術品は国指定の文化財だけでも約2000件に上る▼文科省は被災した文化財の被害調査や復旧に向け現地に専門家チームを派遣するなど、レスキュー対応を進めてきた。昨年10月には国立文化財機構に文化財防災センターを設置し、文化財を守る体制づくりに本格的に乗り出した▼建造物を守るには事前防災の視点が欠かせない。国内のゼネコンが保有する世界トップクラスの耐震・免震技術などを活用し、歴史的に価値のある文化財をぜひ、後世に残してほしい。

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