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群馬県内自治体に予定価格の事前公表広がる/適正な競争を懸念する声も  [2021年6月10日5面]

 群馬県の自治体で工事や業務の予定価格を事後公表から事前公表に切り替える動きが広がっている。4月以降、事前公表に変更した自治体が複数ある。官製談合事件や予定価格の漏えい事件などを受け、再発防止策としてやむにやまれず実施に踏み切った自治体もある。県内の建設会社の首脳からは、「健全な業者の適正な競争が阻害される可能性がある」と、事前公表が増えることに懸念を示す意見が出てきている。
 予定価格の事前公表は、受注者の見積もり努力を損ない、適正な競争が行われにくくなるとされる。「談合が一層容易に行われる可能性もある」と入札契約制度の規定に明記する自治体もある。最低制限価格の算定式の公表に伴い、予定価格が事前公表されると、容易に最低制限価格が類推でき、複数の業者が最低制限価格ぎりぎりの価格で応札し、結果的に「くじ引き」で受注者が決まるケースがある。
 国の発注関係事務の運用指針は「原則事後公表」を明記している。ある建設会社の首脳は、「国が方向性を示しているのに、なぜ従わないのか」と指摘した上で、「仮に多くの応札業者が受注したくて最低制限価格に張りつけば、予定価格よりも低い最低制限価格が適正価格と捉えられる認識が広まってしまう」と、危惧する。
 事前公表のデメリットを認識する県内の自治体は多いが、ある自治体の担当者は「職員が予定価格を漏えいした事件があり、事前公表に切り替える必要があった」という。さらに「国や県の指導では事前公表はイレギュラーとされているが、事前公表することで職員の関与を防ぎたい」と胸の内を明かす。その自治体はくじ引きで受注者が決まるという事態を避けるため、最低制限価格の設定に価格を自動で変更するランダム係数を適用し「職員が最低制限価格を知ることができないようにした」という。
 「国や県の指導では、事前公表はイレギュラー」と入札監視委員会から指摘されながらも、「事件は事後公表で起こったものであるため、事前公表することで、職員の関与を防ぐ」と制度改正の理由を説明した市がある。ある建設会社の首脳は「ランダム係数まで導入して、職員を守るというのではなく、職員の教育を徹底し、守秘義務を強化すれば良いのではないか」と指摘する。事前公表に変更したある市の担当者は、「変更による弊害の有無をしっかり見ていく」考えで、議会でも、国の指針を踏まえ、「弊害があるなら取りやめる」と答弁している。
 他県を含めて予定価格を事後公表から事前公表に変更する検討を進めている自治体もあり、事前公表の動向を注視する必要がありそうだ。

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