論説・コラム

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回転窓/現場を読み解いた先人  [2021年6月18日1面]

 河川工学者の高橋裕東京大学名誉教授が94歳で亡くなった。流域管理による総合治水対策や環境への配慮、住民との対話などを提唱し、河川事業の在り方に影響を与えた▼現場第一主義で、カスリーン台風以降、水害被災地を丹念に回ったそうだ。「研究室にこもっていたら駄目だ。川を見ないと始まらない」と記者にも熱く語っていた。河川のみならず、植生や人々の暮らしにもまなざしを向けた▼建設分野ではDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みが進む。大量のデータを収集して分析し、インフラや都市を見える化し、生産性や効率性をより高めていく方向だ▼不可欠な取り組みだが、いくらデータがあっても、社会にとって有益な形に読み解く力がなければ情報過多に陥るだけ。しっかりとした軸を持ちつつ、多様な声に耳を傾けることが、より重要になるのだろう▼「土木技術は大変開けた技術。凝り固まらず、いろいろな知識を持ちどんな人とも突っ込んで円満に話し合える能力を土木技術者は持つべきだ」とは高橋先生の言葉。将来を担う若手者が心に留めておくべきメッセージに思えてならない。

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