論説・コラム

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回転窓/コンクリート開発  [2021年7月28日1面]

 近代土木の先駆者、廣井勇(1862~1928年)の銅像が4月に故郷の高知県佐川町に建立された。廣井の業績と人となりを世に広めようと土木関係者らが寄付を募り制作した▼廣井は初代の小樽築港事務所長を務め、日本初のコンクリート防波堤(1908年完成)を設計した。当時、コンクリートの配合理論はまだ確立されておらず、多くの海外文献に当たり、さまざまな実験を経て、火山灰を混入した強度のあるコンクリートブロックを製作した▼廣井は新技術の開発や後進の指導にも当たった。中でも非凡さを示したのがコンクリート供試体(テストピース)を数多く残したこと。その数約6万個。供試体は今も経年変化観察や長期耐久性試験が続く▼自分が設計したコンクリートがどれほどの耐久性があるのか。設計に携わった土木技術者としての責任と覚悟が、供試体の一つ一つに込められているのだろう▼コンクリートは高流動や超高強度などを経て、いま環境配慮型の開発が進む。廣井が100年先を見据えて設計を行ったように、耐久性や強度はもちろん、環境にも優しい新たなコンクリートの誕生に期待したい。

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