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国土技術研究センター/インフラ国民意識調査結果公表/維持管理の重要性など認識不足  [2021年7月29日2面]

 ◇土木学会「ビッグピクチャー」提言に反映へ
 国土技術研究センター(JICE、甲村謙友理事長)はインフラに関する国民の意識調査の結果(速報値)を公表した。2017年の前回調査との比較で国民の社会・生活への不安が全体的に高まっているものの、インフラの維持管理・更新の重要性などは十分に認知が広がっていない。調査結果データの活用で連携する土木学会の谷口博昭会長は22年6月までに取りまとめる「コロナ後の日本創生と土木のビッグピクチャー」の提言に反映させる方針を示している。=1面関連
 調査はインターネットによる無作為抽出のアンケートで4、5月に行った。居住地や性別、年齢が偏らないよう抽出した3000人に社会資本の充足感や今後の整備・保全の在り方、日本の将来のあるべき姿などを聞いた。大規模災害やコロナ禍といった社会情勢の変化が国民の意識にどう影響を与えたか、前回調査との比較で分析する狙いがある。
 社会や生活の不安感は設問22項目のうち21項目で上昇し、特に自然災害や景気悪化への不安増大が目立った=グラフ参照。一方、インフラの維持管理・更新が課題になっていることへの認知度は51・3%(前回調査比1・0ポイント増)とほぼ変化が無かった。米国や欧州諸国によるインフラ投資の拡大政策への認知度も3割程度で横ばい。インフラの重要性に対する国民の理解が深まっているとは言い難い現状も分かった。
 日本の社会資本に関する設問で「充足している」は21・2%(4・7ポイント減)、「充足していない」は26・8%(5・9ポイント増)で充足感に対する評価は悪化。日本の将来像に関する設問では「衰退する」が55・8%(8・5ポイント増)に達し、悲観的な見通しが過半数を占めた。
 土木学会の谷口会長はアンケートの設問や分析を助言する有識者委員会のメンバーとして参画。調査結果への受け止めとして「具体的な事業や予算・制度の裏付けのある信頼され得る全体俯瞰(ふかん)図としての『ビッグピクチャー』が求められていることが明らかになった」とコメントを寄せた。
 インフラの充足感が低い地域で若者を中心に将来への期待が少ない傾向があることから「インフラの果たす役割は高く、一層の整備・保全が求められている」と強調した。インフラの現状と整備・保全の必要性を分かりやすく「伝え、伝わる」ようにする重要性も指摘。「情報伝達の多様化と、プッシュ型に偏らずプル型も合わせた不断の工夫に努めたい」とした。

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