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土木学会/想定上回る複合災害に危機感/感染症と自然災害、新たな提言検討へ  [2021年8月17日1面]

浸水被害が発生した佐賀県中部を流れる六角川流域。感染症と自然災害の同時対応を迫られている(15日撮影、国土地理院提供)

 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めが掛からない状況下で、西日本から東日本までの広い範囲で記録的な大雨が降り続いている。感染症と豪雨の「複合災害」に対し、土木学会(谷口博昭会長)は危機感を強める。過去の教訓が生かせない不測の事態と捉え、同学会は効果の高い対応を速やかに講じる必要があるとの認識を深めている。複合災害に関連した技術や政策を詳しく検証し、新たな提言をまとめる方向で動いている。
 10日ごろから全国の広い範囲で降り続いた大雨の影響で、九州や中国、関東、東海、東北など各地方で土砂災害や河川氾濫による家屋や橋梁の被害などが発生している。感染力が強い新型コロナのデルタ株が猛威を振るい、感染者数と重症患者数は今月に入り、高水準で推移している。
 土木学会は自然災害と感染症に見舞われている国内状況を「想定を上回る危機」と認識。今後も同等以上の深刻な複合災害が起きることを懸念し、5月14日に公表した「COVID-19 災禍を踏まえた社会とインフラの転換に関する第2次声明」に基づく対策の在り方などを、ホームページ(HP)で再周知している。
 第2次声明では、感染症と自然災害の複合災害に備えた強靱な社会への転換を提唱。十分な広さがあり、環境と衛生の両面に配慮した指定避難所の整備、地域建設業など災害対応の最前線に立つエッセンシャルワーカーへのワクチン優先接種を求めた。
 土木学会は複合災害が再び発生した場合、声明に基づく対策だけでは不十分と分析。今後はインフラや国土、交通、暮らしといった観点から複合災害に関連した技術や政策を検証し、必要に応じて第3次声明をまとめる考えだ。
 複合災害のリスクに警戒を緩めず、速やかに効果の高い対策を講じることなどが当面の課題になる。自然災害の多発と感染症のまん延は社会・経済活動にとって大きなマイナス要因。景気低迷がより深刻化する可能性もあり、事態を打開するための方策が不可欠になっている。

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