論説・コラム

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回転窓/インフォーマル居住地  [2021年9月10日1面]

 土地売買のような正規のプロセスを経ずに人が住み着いた「インフォーマル居住地」。世界各地のスラムが代表例で、十分なインフラが整備されておらず法規制にも適合していないため、改善が必要な対象と見なされてきた▼そうした場をどう見ていくべきか。日本建築学会(田辺新一会長)のオンライン大会で、若手研究者らが世界での活動事例などを踏まえて議論していた。正規とされる立場だけにとらわれずに都市の在り方を多様な視座から探る試みだ▼「人間が作ってきた合理的なシステムは不完全で、ひずみが見えてきている」。コメンテーターの岡部明子東京大学大学院教授が指摘していた▼食事も趣味も形式張らずに決めて生きているのが人間だ。多地域居住を志向する人や所有を重視しない人の増加など価値観も多様化している。岡部教授は「インフォーマルな余地が無くなれば窒息する。都市もそうだ」と指摘していた▼秩序を持って社会を動かすには法規のような基準が不可欠だが、時と場合によって最適解は変わっていくはず。社会構造が大きく変化する中、頭を柔らかくして考えていくべきなのだろう。

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