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社整審小委/河川整備基本方針変更了承/新宮川水系、五ケ瀬川水系  [2021年9月15日2面]

新宮川の下流部では継続的に河道掘削に取り組む

 社会資本整備審議会(社整審、国土交通相の諮問機関)が設置した小委員会は新宮川水系(奈良県、和歌山県、三重県)と五ケ瀬川水系(宮崎県、大分県、熊本県)の「河川整備基本方針」変更案を了承した。気候変動の影響を考慮して河川流量の予測値を引き上げ、河道掘削や洪水調節施設の整備といった対策を強める。国交省は近く方針を決定し、具体的な整備内容を示す「河川整備基本計画」の改定に着手する。
 社整審河川分科会河川整備基本方針検討小委員会(委員長・小池俊雄土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長)の会合を14日に開いた。ここ数年の水害で大きな被害が発生した2水系を検討の初弾に選び方針の変更を急いでいた。方針は国内の109水系で策定しており今後順次見直す。
 新宮川水系の最大降雨量は、1日当たり549ミリと予想した。現行方針(316ミリ)に比べて約1・7倍の大幅増。河川流量は河口から約10キロの地点で1秒当たり2万4000立方メートルに設定した。
 うち2万3000立方メートルを河道で流す。河口部で河道掘削を継続的に実施し、土砂の堆積を防ぐ。掘削土砂は宅地のかさ上げや養浜といった公共事業に利用。コストを抑え持続可能なスキームを構築する。
 残る1000立方メートルは既存ダムで吸収し、河川流量を抑える。堆砂の除去や洪水吐きゲートの改修、放流設備の改造といった機能強化で事前放流の効果を高める。
 五ケ瀬川水系の最大降雨量は12時間当たり375ミリ(現行352ミリ)に設定。河川流量は河口から約10キロ地点で1秒当たり8700立方メートルと予想した。うち7200立方メートルは河道で流し、残る1500立方メートルをダムなど洪水調節施設で対応する。アユの産卵場が河道内にあるため、自然環境や景観の保全に重点を置いて河道を掘削する。
 沿川では土地利用規制や宅地のかさ上げといった対策で安全を確保。あえて開口部を設け、遊水機能を確保する「霞堤」を整備済みで適切な維持管理を続ける。
 2水系とも2015年に決定した温室効果ガス削減の国際的な枠組み「パリ協定」の目標を達成する前提で、将来の気候変動を予測した。地球温暖化に伴う気温の上昇は、産業革命以前と比べて2度に抑える。将来にかけての降雨量の増加率「降雨量変化倍率」は、北海道以外の地域で1・1、北海道で1・15となる。

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