トンネル工事を安全に-粉じんガイドライン改正

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トンネル工事を安全に-粉じんガイドライン改正・下/掘削等作業主任者の職務を追加  [2021年4月1日]

 ◇解釈通知で専門工事会社、元請企業の役割を明記
 ずい道等の掘削等作業主任者は、トンネル切羽の作業を行う職長クラスが主に務めている。その業務内容は掘削の出来高管理や切羽周りの安全管理などだ。改正された「ずい道等建設工事における粉じん対策に関するガイドライン」では、この掘削等作業主任者の職務に関する規定を新たに追加している。
 追加された職務は〈1〉空気中の粉じんの濃度等の測定方法及びその結果を踏まえた掘削等の作業の方法を決定すること〈2〉換気(局所集じん機やエアカーテン、粉じん抑制剤などの採用等も含む)の方法を決定すること〈3〉粉じん濃度等の測定結果に応じて、労働者に使用させる呼吸用保護具を選択すること〈4〉粉じん濃度等の試料採取機器の設置を指揮し、または自らこれを行うこと〈5〉呼吸用保護具の機能を点検し、不良品を取り除くこと〈6〉呼吸用保護具の使用状況を監視すること-の6項目。
 ただ、これらの項目は元請企業となるゼネコンや下請企業が実施してきたもので、切羽の第一線で作業する掘削等作業主任者はこれまで余り関与してきていない。例えば〈1〉、〈2〉、〈4〉は施工計画に盛り込む内容で元請企業の監理技術者の職務。特に〈2〉の換気設備は施工上の重要事項であり、掘削等作業主任者が決定するのは考えられない。〈4〉も設置指揮は元請企業の所掌となる。〈3〉や〈5〉、〈6〉も掘削等作業主任者が元請企業や所属する下請企業の指示もしくは協議の上で行う行為となる。当然、こうした職務規程にトンネル専門工事会社からは「できるわけない」と疑問の声が上がっていた。
 これに対し厚生労働省は、3月3日付で改正ガイドラインの解釈などを関係機関に通知した。Q&A方式で示された解釈では掘削等作業主任者の追加職務について「これらの措置は本来、事業者が実施しなければならないもの」とし、掘削等作業主任者は事業者(専門工事業者)が選任するため、事業者から付与された権限の範囲内で職務を遂行するとしている。一方、専門工事業者だけの取り組みでは安全衛生の確保が難しい面もあると指摘。労働安全衛生法にある、元請企業の安全で衛生的な作業の遂行に伴う配慮規定や指導規定を示し、注文者や元請企業も関与し一体となった取り組みを求めている。
 ある関係者は「この解釈で掘削等作業主任者だけが追加職務の責任を負う訳ではないことは理解できた。ただ、こうした職務が明記されていることで、掘削等作業主任者がもし換気設備などを実際に提案してきた場合、元請企業は対応に困るのではないか」という。さらに、改正ガイドラインを踏まえ、掘削等作業主任者を対象に特別講習が今後行われる予定だが、この特別講習を受講しないと22年4月以降作業主任者に選任できなくなる規定があり「猶予期間が短すぎる」と、指摘する。
 現場の安全性向上は建設業界にとって最重要事項で、「働く人の健康のために最大限取り組む」(ゼネコン担当者)という姿勢は業界関係者で一致する。ただ、今回の改正は準備に手間取る内容も多い。労働基準行政に詳しい、ある関係者は「猶予期間が十分にあれば困惑するような事態は避けられたのではないか」と、弾力的な運用を強く求めている。
 (編集部・粉じん対策取材班=田村彰浩、牧野洋久、坂川博志)

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