論説・コラム

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回転窓/紅葉と生き物のさが  [2021年11月17日1面]

 紅葉前線はどの辺りだろうか。北海道や東北の山間部は既に落葉したようだが、首都圏や西日本などの平野部はこれから紅葉シーズンの本番を迎える▼モミジやケヤキ、イチョウなどが赤や黄色に色づき、美しいコントラストを織りなす。四季の中で最もあでやかな季節。紅葉狩りという言葉の「狩り」は狩猟でなく、探し求めるという意。自然をめでながら、色づく草木を探すのは心が弾む▼植物の葉が色づくのは葉についている細い茎、葉柄と枝の接点の所に離層ができ、葉と枝の間の物質移動が遮断され、葉の色素が変化するためと言われる。離層は分かりやすく言えばフタのことで、栄養素の供給が絶たれた葉は最後に色づき落葉する▼夏の間、太陽の光を受けて、ひたすら養分を生産し続けた葉。その葉も気温が低くなるとともに、その営みが徐々に失われる。それに気付いた葉は自ら枝と葉をつなぐ道の扉を閉じて命脈を断ち、落葉し土に還っていく。そう思うと紅葉も同じ生き物としてのさがを感じる▼紅葉の季節は春の桜と同じで短い。コロナ禍であまり出掛けることもなかったが、今週末は紅葉でも楽しみたい。

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