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25年大阪・関西万博/会場デザインプロデューサー/建築家・藤本壮介氏に聞く  [2021年12月24日18面]

藤本壮介氏(撮影=David Vintiner)

万博会場の完成イメージ(2025年日本国際博覧会協会提供)

 2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)は、開催に向け施設群の設計が始まっている。会場デザインプロデューサーを務める建築家・藤本壮介氏は大小さまざまな施設のうち小規模施設の設計には若手建築家を起用するという。「万博会場を未来がポジティブに捉えられる場にしたい」と力を込める。
 ◇未来ポジティブに感じる場に
 --大阪の街並みにどのような印象を持っているのか。
 「水辺空間にアクセスしやすく、運河と海が連動しているのはとても魅力的だ。そして人と人との関係に情緒があり、それが社会を動かしているように感じる。大阪には人間らしい情味あふれる『ヒューマンな場所』があり、にぎわいに連動していると感じる」
 ◆ヒューマンな 関係性が魅力
 --プロデューサーに就任してから街や人の印象は変わったのか。
 「大阪の街と急に親しくなった気がする。コロナ禍の影響で会食や面談が多くできなかったのは残念でならない。それでも万博の基本計画を発表した20年12月以降、多くの人に計画を説明したところ、みんなで万博を応援しようという気持ちが伝わってきた。大阪は人と人との関係がありダイナミズムで社会が動く。とても人間的で現代的だ」
 「東京など他の都市は社会構造が複雑で、それに合わせて仕組みができ上がった。現代社会はデジタルなどで人がつながるようになっている。確かに便利な世の中だが、もう一度人と人との関係を重視し、そこに根差しつつ社会全体を動かすような、社会的な雰囲気も必要と感じている。これからの時代は人と人とがつながり、響き合い、多様な個性がうまく重なることでより豊かな社会が生まれる。大阪の関係性は現代的で本質的といえる。万博と連動しそうなのでとても良いと思う」
 ◆街のグリーン 拡大につなげる
 --万博は大阪の街が変わるきっかけになるのでは。
 「会場にはできるだけグリーン、森や木々を設ける。会場中央に『静けさの森』を計画し、日差しを避けるのに木々を使う。大阪の街は緑が少ないと聞く。万博を契機にグリーンを都市環境の中にもっと導入する機運が生まれるといい。木々が増えると街歩きがしやすくなり、人の活気やさまざまな活動が生まれる。歩く人が増えれば街のお店も増え、全体が活気づくというサイクルができる。その辺りから変わるといい」
 --万博は会場施設の設計が始まった。
 「今年に入りさまざまな施設の設計者が決まった。設計者が気持ち良く施設を設計しビジョンも共有できるよう、設計者と協会にディレクションしている。全体を俯瞰(ふかん)的に見るポジションは私だけなので積極的に動いている。大屋根はデザインを含めて私が手掛けたので、設計者や協会と密に連携し作業を進めている。小さなトイレや休憩スペースなど小規模建築の計画があり、若い建築家を起用したいと思っている。若い才能を生かすことを考えている。若手建築家の素晴らしく面白い提案に期待したい。テーマ事業の8パビリオンは異なる建築家が設計を担う。8人のプロデューサーと会場運営プロデューサーの石川勝氏、私が定期的に意見交換している。テーマ事業エリアは万博にとって思想的、体験的な核になる場所だ。議論で万博の意味を考えるのはエキサイティングであり、成果を会場計画にフィードバックしている」
 --万博施設群に期待するチャレンジとは。
 「木材や自然素材、リユース材、リサイクル材の新しい使い方や作り方を試みるパビリオン群になればと思う。建築空間とデジタル空間が影響し合い相乗的に作用することも楽しみにしている。施工も新しい技術が数多く投入されるだろう。プロセス変革のきっかけになると思う」
 --国内外の人たちに伝えたいことは。
 「万博会場を未来がポジティブに感じられるような場にしたい。25年ならではの未来像を具現化し見て感じてもらえるようにする。ぜひ期待してほしい。万博は世界の国々が文化を含めてリアルに集まる特別なイベントだ。そこに価値がありわくわくする。さまざまな国が集まり多様性を披露し響き合う。万博会場はそれが実感できる特別な空間だと考えている」。

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