回転窓/変貌する価値観

2022年5月12日 論説・コラム [1面]

文字サイズ

 いつしかマスクは風邪をひいた時などに使うだけではなく、外出時や仕事中に着用するのが当たり前となった。必要に迫られてのことだが、こうした日常生活の価値観もコロナ下で大きく変わったものといえよう▼建築家の吉阪隆正(1917~80年)は『変貌する価値観』(59年)と題する随筆を残している。かつてぜいたくと思われていた電気や水道、ガスも必需品となり、太陽熱や地熱などがうまく使えると暖冷房も当然のものになると記した▼一方で「人工的な世界をつくり上げようと、人類はやっきになって努力する。(中略)気がついたとき、自然は正に消滅しそうになっているだろう」とも。半世紀以上前に現代社会が直面する課題を見据え、警鐘を鳴らしていたことに驚く▼登山家や探検家としても知られ、人文的な素養に富んだ吉阪。その活動の全体像に触れる個展が6月19日まで、東京都江東区の東京都現代美術館で開催されている▼個展のサブタイトル「ひげから地球へ、パノラみる」は、吉阪の造語を組み合わせたものという。変化の激しい時代をどう捉えればいいのか。このヒントを見つけにいきたい。

同一ジャンルの最新記事


2022年5月16日 [1面]

2022年5月13日 [1面]

2022年5月11日 [1面]

2022年5月10日 [1面]

2022年5月9日 [1面]