ストアス全地区で10万円突破、合材への転嫁進まず/経済調査会調べ

2022年6月17日 トップニュース

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 舗装工事に使うアスファルト合材の原料となるストレートアスファルト(ストアス)の価格が過去最高を更新した。経済調査会(森北佳昭理事長)の調査結果(10日時点)によると、原油相場の上昇や円安基調を背景に続伸。東京や名古屋、大阪を含む全国主要都市の全55地区で針入度60~80のストアス(ローリー)が1トン当たり初めて10万円の大台を超えた。ただアスファルト合材への価格転嫁は十分に進んでおらず、合材製造工場の経営はさらに厳しさを増しそうだ。=2面に関連記事

 今回の調査でストアス価格が10万円台を初めて上回ったのは▽水戸▽宇都宮▽前橋▽さいたま▽千葉▽東京▽横浜▽福井▽甲府▽岐阜▽名古屋▽津▽大津▽京都▽福知山▽大阪▽神戸▽奈良▽和歌山▽岡山▽広島▽下関▽周南-の23地区。ともに前月から2万4000円上昇し、水戸と宇都宮、前橋、甲府の4地区が12万2000円、ほか19地区は12万円となった。全55地区のうち残り32地区も10万円を超えている。
 同調査会によると、背景にはロシア産原油の禁輸措置などによって原油相場が騰勢を強めている状況がある。為替の円安基調が続く影響も相まって、国内の原油調達価格はさらに上昇し高止まりしている。ストアスを製造販売する石油元売り各社は原材料コストの上昇分を製品価格に転嫁している。
 一方、アスファルト合材製造コストは十分な価格転嫁が進んでいない。ストアス価格が10万円を超えた23地区の再生加熱アスファルト混合物(再生密粒度〈13〉)の価格を見ると、前月から上昇したのは甲府、京都、福知山、神戸、奈良、和歌山、広島の7地区にとどまる。ただ同調査会は「今回のストアス上昇分ではなく、これまでの上昇分を価格転嫁しようとする各地区のメーカーの値上げが市場に浸透したものだ」(担当者)と分析。今回の上昇分が今後の取引価格にどう影響するか注視するという。
 政府は4月に決定した原油価格や物価高騰に対応する「総合緊急対策」でストアス高騰対策を明記。国土交通、経済産業両省はアスファルト合材の取引関係者に原材料コスト上昇分の適切な転嫁を働き掛け、官民の発注者に適正な請負代金の設定などを求めている。